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ポイント:簿記の知識、弥生会計、会計パッケージ、財務諸表、経営者やその後継者

簿記の知識って必要?


 時々、会計パッケージで「もう簿記の知識は不要!」と宣伝しているものがある。確かに、日々の記帳に関して非常に便利な機能が実現され、一見、なんとなく簿記の知識はなくても記帳はできるような気になってくる。このように「記帳はできるような気になってくる」というその気にさせるだけでも、会計パッケージの功績は大きい。最近、商工会で弥生会計のセミナーなどを開催する前に青色申告と白色申告の業者の割合を聞いてみた。すると、予想以上に白色申告が多いことに驚いた。私の弥生会計の紹介を聞いて、「よし、やってみよう、そして青色申告控除65万をGETしよう」と思ってくれる人が、一人でもいると嬉しい。会計パッケージが自分自身で記帳する人の裾野を広げている功績は非常に大きい。ただ、一部の会計パッケージのPRのように「簿記の知識は不要」と言い切っていいのであろうか?

 そもそも「簿記の知識は不要」とは、誰を対象に言っているのであろうか? 記帳がメインである経理担当者であれば、難しい簿記の知識がなくても、記帳ができるのならこんなありがたいことはない。現にそのレベルまでの機能を多くの会計パッケージは搭載している。しかし、その言葉を事業体の状態を把握しながら経営していかなければならない経営者に対して言われた場合、私は問題だと思う。別の視点で、経理にかかるコスト削減を目指すなら、経営者に対しても通じるPRであると思う。しかし、経営者は事業体の状態を把握しなければならない立場である以上、それこそ細かい仕訳の知識はいらないが、簿記の知識がある程度必要だと思う。

 決算書を見たときに、それぞれの勘定科目が、どのような商行為を基にして記帳・集計されているかは知らなくてはいけないであろう。そうでないと、経営改善をするのが非常に困難になってしまう。会社を経営していく上で、ヒト、モノ、カネ、情報と様々な経営資源がある。その中で、カネほど状態を明確に把握できるものはない。そのカネの状態を示すものが財務諸表である。よく言われるが、財務諸表は健康診断表のようなものである。健康診断表の各項目を知らないと、どうやって健康を取り戻していいのかわからない。「簿記の知識」は会社の健康診断表である決算書を読むときの予備知識としてとても役に立つ。

 こういう意味で「簿記の知識」は必要と言わしてもらい。とくに経営に携わる人、経営者やその後継者にとって大切な知識だと思う。ただ、繰り返すが、簿記の検定を取るのではないのだから難しい仕訳を丸暗記する必要はない。 

 最近読んだ本で、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?(山田真哉著)」という会計のとてもわかりやすい本がある。ベストセラーになっているので、知っているヒトや、もう既に読んだヒトも多いと思う。2時間ぐらいで読める、気軽で、値段もお手軽な本である。会計に興味を持つには非常に有効な本だと思う。

2005年7月18日 宿澤直正


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