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ポイント:金融商品取引法案、投資サービス法案、日本版SOX法、日本版企業改革法、J-SOX法

内部統制の強化は「金融商品取引法案」に


「金融商品取引法案(投資サービス法案)」に内部統制

 日本版SOX法の最新情報です。・・・と言っても10日ぐらい前の情報です。上場企業に対する内部統制の義務付け、いわゆる日本版SOX法の適用は、2008年4月1日以降に始まる事業年度から適用される見通しとなったようです。政府が3月10日に閣議決定した「金融商品取引法案(通称、投資サービス法案)」に盛り込んだもので、金融庁の当初予想から1年の先送りとなりました。導入を迫られる上場企業には、今後約2年の準備期間が与えられることになりました。

 日本版SOX法の概要は今更私が話す内容でもありませんが、原則的には、すべての上場企業(連結ベース)に、内部統制システムを導入させた上で、毎年の決算ごとに経営者による「評価」と公認会計士による「監査」を、明確に義務付けたるものです。今までの日本版SOX法の議論は昨年の12月に金融庁より出された「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」にもとづいてされてきており、準備も進められています。この金融庁のガイドラインの要約は「金融庁「内部統制の監査基準」の要約」にあるので興味のある方は参照していただきたいと思います。

法案の原文は難しいですね

 閣議決定した「金融商品取引法案(投資サービス法案)」では、3月決算の場合、経営者の評価や会計士の監査結果は、2009年3月期から公表することになります。このほかに、四半期決算ごとに、有価証券報告書の適正さについて経営者の「確認」を義務付ける「確認書制度」も導入しています。

 法案の原文も目を通したのですが、何が何だかよく分りませんでした・・・。法案の読解力の無い私でお恥ずかしいです。ただ、該当箇所は二つ目のファイルのP88(PDFファイルではP38)〜P97(PDFファイルではP47)が「有価証券報告書の記載内容に係る確認書の提出」とあり、内部統制に係る確認書の部分になります。その後で「四半期報告書の提出」の話になりますので、あわせて目を通すとよいと思います。

 ただ、私のように法案の「文章を読むのが苦手だ〜」という方は、「証券取引法等の一部を改正する法律案要綱」があるので、そちらを読んでおけば今はいいと思います。

 関連部分を抜粋しておきます。「証券取引法等の一部を改正する法律案要綱」のP6の部分です。

「証券取引法等の一部を改正する法律案要綱」から一部抜粋
3.企業内容等開示制度の整備

(4) 有価証券報告書の記載内容に係る確認書の提出の義務化有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、金融商品取引所に上場している有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、有価証券報告書の記載内容が金融商品取引法令に基づき適正であることを確認した旨を記載した確認書を当該有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。
(金融商品取引法第24 条の4 の2 関係)

(5) 財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制の評価制度の整備 有価証券報告書を提出しなければならない会社のうち、金融商品取引所に上場している有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるものは、事業年度ごとに、当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するために必要な体制について評価した報告書(内部統制報告書)を有価証券報告書と併せて内閣総理大臣に提出しなければならないこととする。また、内部統制報告書には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないこととする。
(金融商品取引法第24 条の4 の4、第193 条の2 第2 項関係)


金融商品に関する保護の印象が強い

 今回は、「内部統制の強化」が政府が3月10日に閣議決定した「金融商品取引法案(投資サービス法案)」に盛り込まれたという話でしたが、久々の日本版SOX法に関して正式に決まった話題ということでした。で、何が新しく分ったというと、これまで「日本版SOX法」だとか「J-SOX法」「日本版企業改革法」とかいろいろ呼ばれてきた名前が、まだ案ですが、「金融商品取引法(投資サービス法)」に決まったことくらいでしょうか。細かい部分では他にもありますが、企業が現在準備している動きを大きく変えるような決定は何も無いと思います。

 法律名も、「金融商品取引法(投資サービス法)」といった場合は金融商品に関する保護の印象が強く、その一部の「内部統制の強化」は「おまけ」といった印象です。法律名も通称として内部統制の強化に関しては「日本版SOX法」だとか言われそうな気がします。

 それか米国では「内部統制の強化」が「企業改革法(SOX法)404条といわれていますが、日本では「金融商品取引法案(投資サービス法案)24条」とか言われるのですかね。どちらにしても、5月に金融庁から出るといわれている「実施基準」を見ててから、本格始動という感じですね。

参考
金融庁ホームページ

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2006年03月27日 宿澤直正


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