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ポイント:ドキュメント管理、文書管理、電子文書、MFP、複合機、ERP、ワークフロー、金融商品取引法、日本版SOX法、内部統制強化

ドキュメント管理への取組み−電子文書の役割


増えているドキュメントソリューション案件

 最近、ドキュメントソリューションに関係する案件に関わる事が多いです。e-文書法、金融商品取引法(日本版SOX法)にある内部統制強化、電子印鑑からみでのワークフローなどです。当然、電子署名法やIT書面一括法なども関わってきます。某資格試験の問題にドキュメントソリューションに関する問題が出たりして、もっとしっかり調べておけばよかったと反省しています。先日「電子印鑑からみでのワークフロー」について客先で話してきたのですが、試験の前にその資料をまとめておけば・・・、と悔やんでいます。でも試験は来年もありますので、今後のためにも、ちゃんと最新動向をみておく必要があります。

 私がドキュメントソリューションに関係する案件に関わる事が多いということは、やっぱり世の中でも案件が増えているようです。「日経ソリューションビジネス3/30号」にMFP(コピーやスキャナー、FAXを合わせ持つ複合機)と業務システムの連携ソリューションの話が載っていました。少し前、ドキュメントソリューションの一つの案として、株式会社OSKの販売しているVisual Finderを活用した文書管理システムのアイデアを出しました。実は似たような案件はこの関与先一つではありません。確かにドキュメントソリューションへの関心が高まっていると感じます。

 MFPと連携となるとコストもかかってきます。すでに連携可能なMFPがある企業はよいですが、そういう企業ばかりではありません。しっかりメリットを理解して、IT投資効果の測定が必要になってきます。

ドキュメント管理の基本

 ドキュメントソリューションと言ってもその目的や方法はいろいろあります。「日経ソリューションビジネス」では「従来」という表現になっていましたが「紙文書を単に電子化、ファイリング」をすることも依然として多いです。これをするだけでも、文書の標準化・共通化をはじめとする文書化のルールを決めて、文書を保存しておくシステムのバックアップなどの運用ルールを決めなくてはなりません。そして、「紙文書の電子化、ファイリングが実現」すればキャビネットの撤去などのオフィスの省スペース化が可能となります。

 実は、コンピュータを活用するドキュメントシステムを構築する前にすべきことは多いのです。例えば・・・

 ・・・などが思いつきます。このような基盤もしくは準備ができてからが、先進的なMFPと業務システムの連携の話になってきます。

業務システムとドキュメント管理の連携

 「日経ソリューションビジネス」では、文書データを業務システムと連携する例として3つが挙げられています。

受発注業務の効率化

 ERPなどの基幹業務システムに直接データを入力することによって、受発注業務の効率化を狙うものです。MFPにてスキャンした内容を連携してERPのデータとして入力できるようしてデータ入力の時間短縮を実現しています。

 具体的には、MFPの操作パネルにERPメニューやマスタデータが表示され、MFPから業務システムに直接入力ができるようになります。つまり、操作パネル上から書類の種類や顧客名を指定することでシステムのデータと文書のイメージデータを関連付けて登録するのです。確かに、これができれば入力の工数が削減でき、入力間違いも減ると思います。

決済にかかる時間短縮

 これは今、正に関与している課題でです。スキャンした書類をワークフローシステムに自動送信し、決済の時間を短縮させようという狙いです。MFPで文書を読み込み、それをワークフローシステムに投げたら、あとは全てイメージファイルで管理していくという方法です。

 この方法は、イメージファイルでの管理という違和感の払拭とワークフローシステムの使い勝手がポイントになってきます。イメージファイルでの管理という違和感は電子文書の場合当たり前ですが、なぜかイメージファイルより、EXCELやWordの方が違和感が少ないようです。

内部統制の強化

 これは「日経ソリューションビジネス」では「監査の手間を軽減」とありますが、利用者視点では金融商品取引法(日本版SOX法)の話もあり「内部統制の強化」の方が分りやすいと思い表現を変えました。言いたい事は同じです。

 金融庁の監査基準に「ITへの対応」が入った事で、文書管理は重要な「内部統制の強化」のテーマになっています。そこで金融商品取引法(日本版SOX法)への取組みに、MFPと業務システムの連携を包括して考えようというものです。日本版SOX法への取組みを法的規制への消極的姿勢ではなく、企業改革に活用しようという積極的な姿勢はとてもよい傾向だと思います。

 「紙文書の電子化、ファイリングが実現」という現場改善から一歩進んで、文書管理を経営戦略として進めていくことが今後は増えていくと思います。そのためには文書管理ができる基盤(準備)をかためて、一歩先への取組みをしていく必要があると思います。

参考
日経ソリューションシステム3/30号

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2006年04月24日 宿澤直正


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