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ポイント:重大な問題を見逃さずに検出することがレビューアの役割、終了時間を明確し集中力を高める、「意図的な見逃し」がプロジェクトを厳しくする

レビューを行う際の3つのポイント(4)〜意識(後編)〜


レビューを行う際の3つのポイントとは

一か月空いてしまいましたが、「レビューを行う際の3つのポイント(3)〜意識(前編)〜」の続きです。 前回も書きましたが、コンサルや研修でも最も受講者のみなさんの「気付き」が多い部分です。

指摘者ではなく作成者になってしまう

レビュー対象の成果物を読んでいるうち、「もう、こんなだったら、自分が代わりに作り直したほうが早い」と、レビューアが自分で成果物の大幅な修正をやってしまう場合があります。 また、重大な問題がないにもかかわらず、レビューアによっては、自分の思い入れのある技術や技法に置き換えようとしてしまう場合もあります。

ここで忘れていけいないのは、レビューでは、「レビューアは問題を検出・指摘するのが役割である」ということです。修正するのはあくまでレビューイが役割です。

レビューアが作り直すと、そのために時間を取られて問題検出がおろそかになる可能性があります。典型的なレビューミーティングが長引いてしまう例です。 さらに、レビューアが1人の場合、誰も作り直した内容をレビューする人がいない…などの問題も生じてしまいます。

優れた代替案を提案することより、重大な問題を見逃さずに検出することが、レビューアの役割だということを忘れてはいけないと思います。

いつ終わるとも知れない耐久レビュー

開始時刻を夜7時や8時といった遅い時間に設定するだけで参加者のモチベーションは下がってしまうものです。 遅い時間帯からのスタートするレビューは、ミーティングが深夜に及ぶことが多く集中力が下がり、ダラダラとして長時間化を招く傾向があるからです。 …すると「レビューのある日は遅くなる」という気持ちが生まれ、最初からモチベーションが下がってしまうというメカニズムです。

やはり、集中力を保ちやすい日中にレビューを行い、計画通りにレビューを進行するよう努めることが基本です。 また、夜に始めざるを得ない場合でも、深夜まで無制限に続けるのは避け、終了時間を明確にしておきます。 そして、長くなりそうな場合は、日を改めてレビュー会議を行う予備日を設けるようにするのがよいでしょう。

「そんな予備日なんて設定する余裕はない」と思われるかもしれませんが、予備日を使う必要はありません。 むしろ、ミーティングの時間を終了時間を明確するこで、その日のうちに終わらせたいという心理が働いて集中力が高まることを期待してのことになります。

意図的に欠陥を見逃してしまう

レビューミーティングであまりに多くの問題が指摘されると、修正工数の増加がプロジェクトのスケジュールを厳しくすると感じ、気付いた問題をあえて指摘しにくくなる心理が働くようです。 しかし、重大な問題を指摘しなければ、問題を先送りすることになってしまいます。 後工程で問題を検出するほど修正工数は大きくなるので、「意図的な見逃し」こそが、プロジェクトのスケジュールを厳しくすることになります。

対策としては、問題の指摘はスケジュールが厳しくなることと切り離して考えることです。

他にも「意図的な見逃し」のケースは存在します。 例えば、「レビュー会議が深夜に及んでいる場合」、「指摘した問題の修正が自分がその修正を任されてしまうかもしれないとの心配」「成果物の品質が高いので重大な問題はないだろうという安心感」などです。

いずれも「意図的な見逃し」はプロジェクトチームに大きな迷惑をかけることが大切になります。

これまで、「レビューを行う際の3つのポイント」である「視点」「技法」「意識」について書いてきました。 少しでもみなさんのレビューがよりよいものになっていただけると嬉しいです。

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2015年06月01日 宿澤直正


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