ロジカルシンキングを考える(2)~ロジカルシンキングの必要性

ポイント:ロジカルシンキングの必要性、情報の整理・分析、問題発見と解決、コミュニケーション

「ロジカルシンキングを学ぶと何がよいのか」について考えてみたいと思います。
そもそも何かを学ぶ際には、その目的が明確でないと、モチベーションも上がりませんし、途中で断念してしまうなんてこともあります。
ロジカルシンキングはどちらかというと自分で学ぶ目的を設定しにくいスキルです。

私の研修・セミナーに参加してくださる人も、ほとんどが「会社から、上司から受講してこいと言われた」もしくは「新入社員研修のカリキュラムに組み込まれている」という場合がほとんどです。

それだけ、自ら受講しようとは思いにくいのだと思います。
ただ、受講後の感想を聞いてみると、「ロジカルシンキングを難しく考えすぎていた」「相手に伝えるには必須のスキルだ」という感想をもらいます。

このコラムでは「ロジカルシンキングが役立つ場面」からその必要性を考えてみたいと思います。
個々に関してはまたそれぞれ考えていきますので、まずは役に立つ場面を3つあげてみたいと思います。

(1)情報の整理・分析をする際に役立つ

私たちが日常行うビジネスは情報をインプットし、それを加工して情報をアウトプットするプロセスとも言えます。
誰かの言葉、どこかでの出来事、目の前のやりとり…といった事象から情報をインプットし、それに自分の意見、新たな付加情報、事実の整理などを行い相手に伝えます。

日常の何気ない業務でも絶えず情報処理を行っているので、自分がどのように情報処理をしているかを意識していない人もいるようです。

情報の整理・分析をする際には必ず、情報という大きな塊を何らかのルールで分類しています。
大きな塊のままでは、分析ができないのです。

何かトラブルが起きたとします。
そのトラブルを大きな塊ととらえていては、何から手を付けてよいのかわからず、対処もできないし再発防止もできません。
大きな塊を分類するからこそ、問題点が明確になり、その対処や再発防止ができるのです。

この情報の大きな塊を整理し、問題点を分析する際にロジカルシンキングは役立ちます。
ロジカルシンキングを身につけると、体系的、構造的に情報の整理・分析を行うことができるようになります。

それは日々の仕事の効果・効率を高めることにつながります。

(2)問題解決をする際に役立つ

仕事における問題発見と解決も日常的に連続しておきます。
それらの問題をいかに的確に発見し、解決できるかが、仕事の成果を高めることになります。

特に複雑な問題やこれまで経験したことのない問題は、なぜ問題が発生しているのか、どういう手を打てばよいのか、簡単にはわからないことが多いです。
そのためにも先に書いたようにロジカルシンキングを用いて体系的、構造的に情報の整理・分析を行うことが必要になるのです。

ロジカルシンキングでよく使われる「ロジックツリー」というツールがあります。
それには問題の原因究明を論理的に行うための「Whyツリー」と解決策を論理的に考える「Howツリー」というものが存在します。

「Whyツリー」は原因を探るため「なぜ? なせ? なぜ?」とツリー状に展開を行っていきます。
「Howツリー」は対策を考えるため「どうやって? どうやって? どうやって?」ツリー状に展開を行っていきます。

Whyツリーの例

Whyツリーの例

間題解決のプロセスにおいて、課題の把握、原因・解決策を体系的に実施するには、ロジカルシンキングの考え方・技法が大いに役に立ちます。

(3)コミュニケーションをする際に役立つ

私はロジカルシンキングが最も役に立つ場面だと考えています。

相手に自分の考えていることを、そのまま抜け漏れなく伝えるためにはロジカルシンキングが必須になります。

仕事は組織の仲間と協力して進めたり、その内容を関係者に伝えていく場面が多々あります。
仕事で成果を上げるには、他者と意思疎通するためのコミュニケーションが必須中の必須です。

仕事では見知らぬ相手や自分と異なる考えを持つ相手に、自分の考えた内容がわかり、相手に自分の考えを再現してもらえる(ノイズを排除する)よう伝える必要があります。

そのためには自分の言いたいことをロジカルシンキングを用いて整理します。
その際には、ロジカルシンキングでよく使われるツール「論理ピラミッド」などを利用すると効果的です。

「論理ピラミッド」とは自分の伝えたいメッセージをピラミッドの頂点におき、その主張を支える根拠や事実を重ねてピラミッドを作っていきます。
「論理ピラミッド」で整理をしておけば、自分の伝えたいメッセージを根拠の抜け漏れなく伝えることができます。

論理ピラミッドの例

論理ピラミッドの例

相手に容易に再現してもらえるわかりやすいコミュニケーションにはロジカルシンキングの思考法・技法が役立ちます。

以上、3点のロジカルシンキングが役に立つ場面を想定し、その必要性を考えてみました。

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2017年10月15日 宿澤直正 記

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