名古屋市新事業支援センターでのマネージャー業務でした。
生成AIに関する相談が多かったですが、そこで感じたことは「概念化」のスキルの重要性です。

「概念化」の反対語は「具体化」で、「どうやるか(How)」に焦点を当て、手順や方法、実行のための具体的なステップを考えます。
一方、「概念化」は「何をするのか(What)」に焦点を当て、目的や意図、実現したい価値を考えます。

例えば、ある業務改善を行う場合、「具体化」は「このフォーマットをどう変更するか」「どの手順を自動化するか」と考えます。
対して「概念化」は「なぜこの業務が必要なのか」「どんな価値を生み出したいのか」という本質的な問いかけをします。

生成AIやAIエージェントの発展により、「具体化」に関わる多くの作業は自動化されつつあります。
データ入力や分析、定型業務の実行などは、AIが人間よりも高速かつ正確に行えるようになってきました。

しかし「何をすべきか」を考える「概念化」では、人間の創造性や想像力が依然として重要です。
AIは与えられた目標に対して最適化することはできても、その目標自体を設定することはできません。

「概念化」のスキルを高めるためには、以下のような取り組みが有効です。
「常に「なぜ」を問う姿勢を持つ」「業務や課題の本質的な価値を考える」「妄想逞しく、限界突破の思考ができる」などです。

特に3つ目の「妄想逞しく考える」という点は、非常に重要だと考えます。
既存の枠組みや常識にとらわれず、「もし〇〇だったら」と大胆に発想することで、新しい価値を生み出すヒントが見つかることがあります。

相談業務において単にITツールの導入方法(具体化)を相談される場合があります。
それよりも自社の課題解決のためのアプローチの相談の方が、より本質的な解決につながることが多いと感じます。

特に生成AIが普及し始めた昨今では「どうやってAIを使うか」ではなく「AIを使って何を実現したいか」という問いの方が重要になっています。
「概念化」スキルとして、一歩引いて本質を考える時間を持つことが大切だと感じています。