ポイント:コンピュータウィルス感染、ウイルス定義ファイル、ワクチンソフト、ウィルス対策
前回はホームページの有効活用に関する相談が多いことを記述し、ホームページ活用への関心の高さを記述したつもりだが、実はそれ以上に多い相談がある。それはコンピュータウィルスに関する相談である。実際には「パソコンの動きがおかしい」と相談をうけ、調べたらウィルスだったというケースがほとんどだ。
中小企業の場合、社内にITに詳しい人間が1人もいないという状況は珍しくない。しかし、パソコンソフトの充実やインターネット環境の普及により、業務には何らかのかたちでパソコンを利用している事が多い。導入の設定が非常に簡単になってきたこともあり、ITに詳しくなくても容易にインターネットに接続し、Webでの閲覧や、メールが可能となる。ただし、ここに落とし穴がある。インターネットには接続しても、コンピュータウィルス対策までは、行っていない企業が非常に多い。
コンピュータウィルスとは次のような定義ができる。「コンピュータウィルス対策基準」においては、「第三者のプログラムやデータベースに対して意図的に何らかの被害を及ぼすように作られたプログラムであり、次の機能を一つ以上有するもの」としている。
@自己伝染機能 自らの機能によって他のプログラムに自らをコピーし又はシステム機能を利用して自らを他のシステムにコピーすることにより、他のシステムに伝染する機能。
A潜伏機能 発病するための特定時刻、一定時間、処理回数等の条件を記憶させて、条件が満たされるまで症状を出さない機能。
B発病機能
プログラムやデータ等のファイルの破壊を行ったり、コンピュータに異常な動作をさせる等の機能。
では、コンピュータウィルスに感染して最も恐ろしい事とはなんだろう? 多くの人の回答は、自分のパソコンに何らかの動作不具合がでること(発病機能)だと答えると思う。個人レベルでパソコンを使っている場合には確かに発病機能が最も怖いかもしれない。しかし企業レベルでは、自己伝染機能が最も恐ろしい。例えば、大切な取引先のシステムにウィルスを感染させてしまい、業務に支障を与えてしまった場合、損害賠償を求められることが考えられる。最悪の場合ではセキュリティに杜撰な会社だと取引を中止されてしまうことも考えられる。ネット取引市場が急速に拡大する中で、様々なリスクが考えられるが、コンピュータウィルスの取引先システムへの感染は最も大きなリスクである。
最近では、症状や感染ルートが多様化している。常に最新のウィルス情報をチェックしておく必要がある。ウィルス情報はトレンドマイクロ社やシマンテック社、マカフィー社のホームページに詳しい。
トレンドマイクロ社のセキュリティ情報のページ
シマンテック社のセキュリティ・レスポンスのページ
また、独立行政法人情報処理推進機構では、コンピュータウイルスの相談窓口としてコンピュータウイルス110番の電話を設けているので、直接電話して確認しても良い。
・電話番号 03−5978−7509
・受付時間 平日 10:00〜12:00、13:30〜17:00
以下にあげるような症状が生じた場合には、ウイルス感染の可能性が考えられる。トレンドマイクロ社、シマンテック社、マカフィー社がウィルススキャンのサービスを実施しているので、コンピュータウィルス対策ソフトが入っていないマシンの場合はウィルススキャンを行うとよい。
・システムが立ち上がらない。
・システムの立ち上げに異常に時間がかかる。
・システムがハングアップする。
・ユーザーの意図しないディスクアクセスがおこる。
・ファイルが削除、破壊される。
・ディスクが破壊される。
コンピュータウイルス対策の中では感染の防止が一番大事なことである、最低限次のことを遵守して欲しい。ウィルス対策ソフトを導入の上、次のことを注意してほしい。
・最新のウイルス定義ファイルに更新しワクチンソフトを活用すること
・メールの添付ファイルは、開く前にウイルス検査を行うこと
・ダウンロードしたファイルは、使用する前にウイルス検査を行うこと
・アプリケーションのセキュリティ機能を活用すること
・セキュリティパッチをあてること
・ウイルス感染の兆候を見逃さないこと
・ウイルス感染被害からの復旧のためデータのバックアップを行うこと
ここ、数日私のパソコンには、タイトルが ”photos”のメールが頻繁に送信されてくる。これは今流行しているウィルスである。もし、自分がコンピュータウィルス対策ソフトを入れていなかったらと思うと、恐ろしくなってくる。
なお、これは余談であるが、コンピュータウィルス対策ソフトを入れたからといって100%のウィルスの侵入がブロックできるとは限らない。OSにもよるが、95%〜98%といったところである。コンピュータウィルス対策ソフトメーカは日夜努力してワクチンを開発してくれているが、それ以上に、ウィルスを開発する人も多いということである。
2004年8月23日 宿澤直正 記
Copyright (C) 2005 宿澤経営情報事務所