ポイント:情報基盤強化税制、中小企業投資促進税制、IT減税、IT投資促進税制、ISO/IEC15408、税制の目的
桜の咲く季節になり、花見、新人歓迎会などのお誘いも増えてきて「行きたいけど・・・、時間がない・・・」とジレンマにかられているこの4月、いよいよIT投資減税も衣替えする。
これまでのIT投資促進税制は、対象品目が非常に多いのが特徴だ。ある意味では、設備投資をしてしまった後でも、IT投資促進税制の存在を知って投資した品目をみると「あ、該当している」なんて事が多かったと思う。
しかし、これからはそうはいかなくなると思う。正しい知識でベンダーは顧客に対して提案を行う必要がある。実際にシステムを納品した後で、「なぜ当社はIT減税が受けれないのか?」と問われたとき、明確に答える責任がある。そのためには、この4月から何が変わったのかを理解しておく事が「顧客の信頼」と、場合によっては「他社との差別化」を実現した提案ができる可能性は十分考えられる。
この4月から、「IT投資促進税制」が「情報基盤強化税制」に変わる。この違いは先のコラム「IT投資促進税制から情報基盤強化税制へ」で書いたので、そちらを参照していただきたい。
もうひとつ「中小企業投資促進税制」が2006年の3月までだったが、2008年の3月まで延長される事になった。総務省のページから「中小企業投資促進税制の拡充・延長」を抜粋させていただく。
中小企業投資促進税制の拡充・延長(1) | 目的 | : | ICT分野の中小・ベンチャー企業が行う戦略的な設備投資を支援することにより、新規事業の創出や企業の高付加価値化を促進し、もって雇用の創出や社会経済の持続的発展を図る。 | |
(2) | 対象 | : | 青色申告書を提出する中小企業者等 | |
(3) | 対象設備 | : | ア |
1台又は1基の取得価額が (リースの場合はリース料の総額が |
イ | 1台又は1基、又は同一種類の複数台の合計の取得価額が (リースの場合はリース料の総額が |
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ウ | 取得価額が (リースの場合はリース料の総額が |
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(4) | 税制特例 | : | 特別償却 (リースの場合は、リース費用総額の |
|
※ | 税額控除の限度額は、所得税又は法人税額の |
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(5) | 適用期間 | : | 平成 |
「情報基盤強化税制」創設と「中小企業投資促進税制」延長がこの4月からのIT減税の変更点である。2つの税制の関係について私なりに少し考えてみる。
「情報基盤強化税制」の対象品目は・・・
つまり、各ポイントでISO/IEC15408の認証製品を含めてシステム設計・導入したかがシステム全体のIT投資額に影響してくるのである。これは「情報セキュリティ強化と国際競争力強化の観点から、高度な情報セキュリティが確保された情報システム投資を促進し、情報基盤を強化する。」という日本の産業競争力を高める情報基盤強化税制の創設の目的を実現ためであると考えられる。
但し、ISO/IEC15408の認証製品はまだ完全に出回っているとは言えない。そのために「中小企業投資促進税制」を拡充・延長することによって、そうでないソフトウェアの減税を残したのだと思う。
日本の産業競争力を高めるために、ISO/IEC15408の認証製品を導入を推進したいと考えている事が「情報基盤強化税制」「中小企業投資促進税制」の税率からわかる。
今後、2年はそれほど大きな動きは無いと思うが、税制の意図を理解して、企業戦略を立てていく事が、おそらく2年後にまたIT減税が見直されるときに重要になってくると考える。
参考
関連コラム
情報基盤強化税制と中小企業投資促進税制 2006年04月03日記述
IT投資促進税制から情報基盤強化税制へ 2006年02月27日記述
IT減税の年度内廃止について思う事 2005年11月27日記述
人材投資促進税制とは 2005年3月14日記述
IT投資促進税制について 2004年11月22日記述
2006年04月03日 宿澤直正 記
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