ポイント:コピペ思考、カットアンドペースト、Web2.0,試行錯誤、コピペの技術、0から創りあげる力、コピペからのアレンジ力
日経新聞の「ネットと文明」に「コピペ思考」という話が載っていました。大変興味ある話として読ませて頂きました。「コピペ思考」って実は大きな問題だと考えていたところです。日経新聞では以下のような事例が掲載されていました。
米バーモンド州のミドルベリー大学ではレポートでネット上の百科事典「ウィキペディア」の禁じたそうです。あるレポートで6人の学生がウィキペディアを引用して、みな同じ箇所を誤ったためだそうです。「ウィキペディア」はWeb2.0の成功例ともいえる良質のサイトですが、ユーザの書き込みに誤りがあったとしてもそれを直すのはユーザです。Web2.0的発想によってこのように開放的に成長しているサイトが増えています。
そこには、多くのユーザが持ち寄った膨大な情報が蓄積され、ユーザをとても便利にしています。しかし、悪意がなくても、そこに誤った情報が紛れ込むことは当然あります。なにも考えずにコピペして、レポートが完成したときにその誤りが中に紛れ込んだとしても、それはコピペした人は気づかないでしょう。コピペして出来た一見立派な成果物は、自分で考えてしまったかのような錯覚を覚えます。
検索エンジンで的確なキーワードを探し、素早く目的の答えを見つけるスキルは今の時代とても必要です。ところがなんでもかんでも検索エンジンに頼ってしまうと、自分で考えることができなくなってしまいす。今は「簡単に答えが見つけられる時代」なのかもしれません。ある意味これはWeb2.0的な発想と言えるかもしれません。(本当は情報を提供せず、情報だけを得ようとする行為はWeb2.0的な発想ではありませんが・・・)
しかし、少し視点を変えると、今の世の中はとても複雑になっています。以前は何か企業で問題がおきあがったとしても、それを解決する方法が過去の事例として存在していることが多かったです。しかし、今は、複雑怪奇となった世の中でおきる問題は過去の事例から探すのが難しくなっています。
つまり、検索したときに出てくる答えは、問題に対する本質的な答えではないことが多いのです。しかし、問題の解答として一見あてはまるような答えが検索結果から得られるので、それを答えとしてしまう場合が多いのです。結果、問題解決にはつながらず、どうしてよいかわからない状況になります。
もし、自分で試行錯誤しながら見つけた答えは、たとえそれが不充分であっても、試行錯誤の過程で得た知識やノウハウが次の正解により近い答えを導き出すのに活かせるのです。つまり、検索エンジンで簡単に得てしまった答えは、それが活用出来る、出来ないのどちらかでデジタル的ですが、自分で試行錯誤して得た答えはそのプロセスが活かせるので極めてアナログ的です。
スピードという点ではデジタル的な思考が必要だと思います。ただ、人をゆっくり進化させてきたのはアナログ的な思考です。どちらが良い悪いという話をしているのではありません。ただ、デジタル的な思考だけでは、割り切れない問題には対応できないことがあると私は考えます。
「コピペ思考」とは今の安易に検索、コピペしてそれをそのまま答えとする考え方です。ただ、「コピペ思考」の結果をそのまま答えとせず、それに自分で試行錯誤した結果をアレンジして組みこんだオリジナルな解答がつくれるようになるのもひとつの方法かなと思います。
今のスピードとオリジナリティが求められる時代は、「コピペの技術」、「0から創りあげる力」、「コピペからのアレンジ力」の3つ力がどれも必要なのだと思います。
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2007年04月30日 宿澤直正 記
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