ポイント:ドキュメント、コミュニケーション、レビュー、プロジェクト、システム開発、プロトタイピング、アジャイル開発、保守性
VisualBasicが登場してプロタイピングや最近ではアジャイル開発などと言われて迅速なシステム開発の必要性が言われています。現在の経営環境は激しく変化をしており、経営と一体化している情報システムは経営環境の変化に対応する必要があるので、迅速なシステム開発は確かに必須です。
システム開発は便利なツールがたくさん登場して、モノを作ること自体はスピードアップできているかもしれません。しかし、システム開発で本当に大切な部分は従来と変わっていないと感じます。では「システム開発で本質的に大切な部分」とは何でしょうか?
私は「コミュニケーション」だと思います。このコミュニケーションにはいろいろな意味が含まれています。直接対話のコミュニケーション、レビューによる1対多のコミュニケーション、そしてドキュメントを使った文字に図解によるコミュニケーション・・・など。どのコミュニケーションも大切で、私への問合せも多いテーマです。これは何もシステム開発に限ったことではありません。どんな業種のプロジェクトでも重要なことです。
今回はドキュメントを使ったコミュニケーションの必要性について考えてみたいと思います。
ダウンサイジング(最近では死語ですか?)によりシステムのオープン化が進み、またハードウェアが安価になったこと等、みんなが気軽にコンピュータを使える環境が整い、EXCELやAccess等を使って部門別にどんどんシステムが作られていきました。いわゆるEUC(開発はEUDと言う事もある)です。この現象は「ユーザの真の要求に応えるシステムが出来上がる」「自分達で開発するので待ち時間がない」など良い点がクローズアップされてきました。
しかし、乱立する部門システムは、そのデメリットも見えてきました。いくつかデメリットありますが、「資源の重複投資」「プログラム品質低下による問題」「保守性の悪さ」がよく言われます。そして「保守性の悪さ」の大きな要因がドキュメントの不備です。
また、ベンダー側の問題としても、開発物件が小規模のシステムが増え、一人一物件などという状態は当たり前になっています。その時に、開発者からよく聞かれる言葉は「一人で開発しているからコミュニケーションは不要で、ドキュメントも最低限でいいよ。それより納期に間に合わさなければね・・・」という言葉です。私も恥ずかしながらそう思っていた時期があります。今では、これは大きな間違いと分かります。
一人で開発しているからこそ、ドキュメントが必要なのです。万が一、交通事故に遭ったら・・・、万が一、異動になったら・・・、万が一、一人では解決できないトラブルが発生したら・・・。ドキュメントによる情報共有の必要性は明白です。そしてそもそも論ですが、一人で開発する事はありえないです。システム開発には必ずお客さんがいます。お客さんとのコミュニケーションにドキュメントは必須です。
極めて閉鎖的な私の私見的な視点で「ドキュメントが必要な背景」を書きましたが、もう少し広い視点で「ドキュメントが必要な背景」を見てみましょう。
日経SYSTEMS 9月号には「読み手が納得、理解する開発ドキュメントの作成力」という特集がされていました。それによると、ドキュメントの読み手が多様化しているという背景が書かれていました。
この特集では三つの背景から「ドキュメントの出来がプロジェクト成功の鍵」を握ると書いてありました。以下、三つの背景を抜粋させていただきます。
・・・この3つの背景は、どれもコミュニケーションの大切さで説明できます。では、読み手が納得、理解するにはどのような力が必要なのか? それが「アレンジ力」「表現力」「レビュー力」だそうです。少し長くなったので、これらについては、また後日まとめさせて頂こうと思います。
参考 日経SYSTEMS 9月号
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2007年03月26日 宿澤直正 記
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