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ポイント:ドキュメントコミュニケーション、アレンジ力、表現力、レビュー力

ドキュメントコミュニケーションのポイント


ドキュメントが必要な背景

 前回のコラムでドキュメントコミュニケーションの必要性を書きました。「読み手の多様化」「業務の複雑化」「人材の流動化」により、システム要件の伝える手段が難しくなっています。そこで解りやすいドキュメントによる情報共有としてのコミュニケーションがプロジェクト成功の鍵を握っていると書きました。

 そのドキュメントによる情報共有としてのコミュニケーションに必要な能力が「アレンジ力」「表現力」「レビュー力」であると、日経SYSTEMSの9月号では説明されていました。その3つの力をもう少し説明すると以下のようになります。

 今回のコラムでは、日経SYSTEMSの記事の内容に私なりの解釈を加えて、ドキュメントコミュニケーションのポイントをまとめてみたいと思います。

アレンジ力

 アレンジ力とは、読み手は誰か? どう使うのか? といった目的別にフォーマットや例示を改良する能力です。アレンジ力を発揮するには、まず、なぜドキュメントを作るのかを考え、明確にすることからスタートします。「プロジェクトで決められたドキュメントだから」と何も考えずに項目を埋めていくことはよくありません。プロジェクトで作成すべきドキュメントは、それは当然、作成しなければなりません。しかし、ただ決められた項目を埋めていくだけでは、何も訴えてこないドキュメントになってしまいます。

 ドキュメントは会話、手紙、電話、メールなどと同じコミュニケーションの道具なのです。つまり、相手がいて、相手に何か動いて欲しい、伝えたい、訴えたいとき使うのです。コミュニケーションをとるときに、相手のことを想って、話したり、書いたりすると思います。そして、相手によって表現や伝えるポイントを変えることは当然のように行ないます。

 システム開発や運用におけるドキュメントも同じです。自分の伝えたいことを相手に伝えるためには、相手の必要とする情報を、相手に伝わりやすい言葉・文書で伝える必要があります。

 日経SYSTEMSではいくつか事例が載っています。「設計書を読み手別にどこがポイントかを分かるようにする」「大きな一枚の紙に全体像を示した資料を添付する」といった方法は、コンサルである今でもよく使う手法です。

表現力

 よく「文章を書いたり、図解を作成するのは、センスが必要だから私には出来ない」と言う人がいます。たしかにセンスが必要な文書もあります。フリーテーマの講演資料などは自分独自の物語を作り上げる必要があり、私はいつも悩む事が多いです。

 しかし、システム開発のドキュメントはフェーズごとに伝えるべき項目がある程度明確になっています。つまり、いくつかの気をつける部分があり、センスはあまり必要とされないのです。逆に、個性的にしすぎると、モレなどが出てたり、相性によっては読みにくくなったりして、目的を達しないドキュメントになってしまいます。

 日経SYSTEMSでは、5つの説得力を高める表現の方法が載っています。

レビュー力

 ドキュメントは必ずレビューして貰うことが大切です。複数の目でチェックするといろいろ指摘され、間違いが指摘されないとしても、確実にブラッシュアップされていきます。レビューばかりで、作業が進まないという話を聞く事がありますが、それはレビューを勘違いしています。レビューの本来の姿は「目的を短時間で達成する」ことです。レビュー自体をだらだらと続けている場合はそれはもはやレビューではないのです。

 日経SYSTEMSでは、3つのレビューで実践すべき事が載っています。

 これ以外にも、以下のようなことをレビュー時にはすべきだと私は考えています。

参考 日経SYSTEMS 9月号

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2007年04月02日 宿澤直正


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