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ポイント:システム開発と運用、ソフトウェア開発、SE、新入社員、プロジェクト管理、幸せ

これからSEになるヒトへ


少し、いつものコラムと趣きが異なりますが、新人社員研修としての「システム開発と運用」を担当させて頂く事もあり、荒井玲子氏著の「ソフトウェア開発で伸びる人、伸びないヒト」と言う本を一部、参考にさせていただきました。特に、「ソフトウェア開発で幸せになれる人」という章が面白かったです。その話の感想を、私なりの解釈で、これまでの経験も踏まえて、「これからSEになるヒトへ」と言うことで書かせていただきます。私自身SEとして会社に勤めていたとき、できていなかった事が多くあります。

仕事とプライベートの切り替えができるヒト

これは、大切だと思います。最近は、セキュリティの観点から自宅に仕事を持ち帰ることを禁止している企業は多いと思います。これはセキュリティの観点だけでなく、精神的にも良いと思います。

その分、残業が増えるかもしれませんが、一度、会社を出たら気分をキチンと切り替えることは、とても大切だと思います。私自身これがとても苦手ですので「切り替えがちゃんとできるヒト」をとても尊敬します。

問題とヒトを切り分けて考えられるヒト

ヒトは感情の動物です。どうしても相性の良くない人はいます。これには理由などありません。ただ、この感情の問題をソフトウェア開発に持ち込むと話が大変ややこしくなります。「ヒトとしての好き嫌い」と「問題解決の適性分野が合う合わない」は、当然まったく別の問題です。「好きなヒトばかり」とコミュニケーションをしていたら、そのソフトウェア開発は問題山積みのプロジェクトになるでしょう。

ヒトは感情の動物と言いながらも、プロジェクトを終わらすには、ヒトを適材適所に配置することが大切です。そこに感情を入れてはいけないのです。ヒトを適材適所に配置する努力をすることによって、相性の悪いと思っていたヒトの「良い面」が見えてくることもあります。

粘り強く考えるヒト

よく「他人に聞いて済ましてしまおう」と言う人が、ソフトウェア開発の現場でよく見かけます。そして、そのようなヒトは仕事を早く終わらすことができることが多いです。ただ、誰もまだやったことの無いような仕事にぶつかると、とたんに立ち止まってしまいます。

どのヒトに聞けば、どんな問題が解決するかのネットワークを構築しているヒトは、それはそれでソフトウェア開発にとってとても重要な要素です。ただ、ソフトウェア開発の工程が上流工程になればなるほど、問題は複雑化し、誰も経験したことが無い問題にぶつかります。そんなときに「粘り強く考える癖」がついているヒトは、何らかの答えを見つけることができるようです。

他人に期待することをはっきり言えるヒト

日本人に多いのかもしれませんが、「皆まで言わさず、察してよ」と言うヒトです。ヒトは、そんなに察しのいいヒトばかりではありません。「察してよ」と言うヒトほど、思い通りにヒトが動いてくれないときに怒り出す傾向があるようです。

「何時までに何を作るのか」を明確にし、周知徹底することはプロジェクト管理の基本中の基本です。この仕事を誰もせずに阿吽の呼吸ですべてのプロジェクトが完了していたらここまで、「プロジェクト管理」の重要性が言われることはないでしょう。

肯定の言葉を使って話すヒト

以前、プロジェクトメンバーに「これまでやったことがないから、出来ません」と口癖のように言う人がいました。この言葉には2つの否定の言葉が入っています。ソフトウェア開発はクリエイティブな仕事です。この現場にいると「クリエイティブな仕事」という言葉に反論したいヒトも多いと思いますが、あえてこの言葉を使わせていただきます。

つまり、ソフトウェア開発は常に新しいことに挑戦しなければならない宿命をもった仕事なのです。IT技術は日々進歩しています。なのに「これまでやったことがないから、出来ません」というセリフは禁句中の禁句だと思います。

業界における自分の位置を把握しているヒト

IT技術は日々進歩していると先に書きました。それに合わせて自分を研磨していかなければなりません。これは逆の言い方をすれば、今の技術で「スーパーSE」の地位にいたとしても、その技術が古くなり使われなくなれば「普通のSE」になってしまうと言うことです。

IT技術の進歩に合わせて、習得しなければならない技術を自分で見つけて習得していけるヒトが「業界における自分の位置を把握しているヒト」と言えると思います。

異論反論はいろいろあると思いますが、ソフトウェア開発はクリエイティブな仕事であると、自分の仕事に誇りを持てることが、本当に大切なことなのではないかと思います。

参考
「ソフトウァエア開発で伸びる人、伸びないヒト(荒井玲子著)」

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2006年04月10日 宿澤直正


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