ポイント:レビュー技法、チェックリスト、役割、レビューの観点、改善ツール、学習ツール
システム開発プロジェクトでのレビューにおいてチェックリストの果たす役割はとても大きいです。 よく言われることですが、チェックリストを見ると、そのプロジェクトや組織のレビューの成熟度がわかります。
そもそも一般的に言われるチェックリストとはどんなものでしょうか? 国語時点を調べてみました。
チェックリスト【check list】とは。意味や解説。確認・検討を要する事項を列挙した表。 照合表。 …とのことです。
ちょっと、ぼんやりしているので、システム開発プロジェクトでのレビューにおいてチェックリストのはたす役割を考えてみます。
レビュー技法において、この役割はわかりやすいです。 チェックのポイントがそれぞれの参加者でバラバラの場合、成果物を確認しながらも漏れやムラが出てしまいます。 成果物を確認する際の、チェックのポイントが決まっているということは、参加者同じ観点でチェックを行えるということです。
ただ、その際に多くの観点をまとめてチェックしようとするとまた漏れやムラがでてしまいます。 観点をいくつかのグループに分類し、その観点のグループごとにチェックした方が漏れやムラが減り、チェックの視点が定まることで結果的に時間が短縮される例も多いです。
レビュー技法におけるチェックの漏れやムラを減らすのが、チェックリストの役割になります。
レビュー技法においてミーティングを行う本来の目的は、様々な技術、視点、経歴、立場の人々が集まり意見交換をすることで相乗効果を発揮して、より深い欠陥や課題を見つけることです。 その相乗効果を発揮できなければ、パスアラウンドレビューなどで一人チェックでのレビューで十分といえます。
この相乗効果を発揮するキッカケが他のメンバーの意見なのですが、そのキッカケはチェックリストから起きることもあります。 連想力から相乗効果を発揮するキッカケのひとつがチェックリストの役割といえます。
レビュー技法において、この役割もわかりやすいです。 プロジェクトで決められたルールに乗っ取って成果物が作成されているかをチェックします。 例えば、文書名や文書№、コメントの付け方などがありますが、それらのルールを確認するのもチェックリストの役割です。
レビューではスキルサプライという考え方があります。 スキルサプライとは、レビューでの目的の達成、品質レベルを確保するには、どのようなスキルが必要かを検討し、誰にレビューへの参加を要請すればよいかを考えます。
ただ、忙しいなどの理由で本来参加してほしいメンバーが参加できない場合はチェックリストで対応を行います。 特に新技術や複雑な業務のレビューには専門家的な役割のチェックリストが力を発揮します。
そのレビューに必要となるスキルをサプライ(供給)するのもチェックリストの役割です。
プロジェクトでのチェックポイントは、そのチェックの回数を重ねることで洗練されていきます。 レビューの際にチェックリストの成熟度がそのままレビューの成熟度のリンクすると感じています。 チェックリストを改善していくことが、プロジェクトを改善していく一つの方法になるのです。
なお、チェックリストの改善ポイントは、「重複するチェック項目を精査する」「チェック項目を類似観点でカテゴライズする」ことが大切だと感じています。
最後ですが、チェックリストは経験の浅いメンバーへの学習ツールにもなります。 私が、はじめて仕事でプログラムを作った際、「ここに注意してプログラムしてね」とチェックリストを渡された記憶があります。
そのチェックリストを用いてレビューをするのだから、あらかじめチェックリストを渡して意識しながら成果物を作ることで、効率の良いレビューができるという考え方です。
このようにチェックリストには様々な役割があります。 では、そのチェックリストを整備するポイントは何なのか? またどこかで整理したいと思います。
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セミナー「システム開発におけるレビュー技法」
2015年11月01日 宿澤直正 記
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