ポイント:クラウド、IaaS、PaaS、SaaS、バズワード
クラウドの活用についてのコラムを書こうと思ったのですが、自分のコラムでそもそもクラウド・コンピューティングについて全く触れていませんでした。これまでの講演で書きためた資料を少し開示しておこうと思います。
今さらですが、そもそもクラウド・コンピューティングとは何でしょうか? クラウド・コンピューティングとは、ユーザーがコンピュータ処理を、ネットワーク(通常はインターネット)経由で、サービスとして利用できる新しいコンピュータの利用形態のことです。従来のコンピュータ利用は、ユーザー(企業、個人など)がハードウェア、ソフトウェア、データなどのコンピュータ資源を、自分自身で保有・管理していたのに対し、クラウドコンピューティングでは「ユーザーはインターネットの向こう側からサービスを受け、サービス利用料金を払う」形になります。
その結果、ユーザーが用意すべきものは最低限の接続環境(PCやモバイルデバイスなどのクライアント、その上で動くブラウザ・アプリ、インターネット接続環境)と、サービス利用料金となり、処理が実行されるコンピュータ本体や、蓄積するデータ(ストレージやデータベース)などの購入や管理の大半が不要になる…というものです。
クラウド・サービスの提供形態としては大きく3つあります。IaaS(Infrastructure as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)です。以下に図示します。
少し、わかりにくいと思うので、絵にしてみます。
具体的に言うと「CPU2個、メモリー4GB、ハードディスク100GBを準備し、ネットワークからアクセスできる形で動かす」というようなサービスになります。IaaSは、既存のシステムと同じ環境をクラウドに置きたい人が、これまで運用してきたのと同じ感覚で、ハードウェアをクラウドの上で使用することが可能となるのです。
例えば…
アプリケーションの開発・実行環境などをクラウドの上で使用するサービスです。クラウドプロバイダの用意している開発・実行環境、およびサービス(ソフトウェア部品)を使うことによって、低コスト、短期間でシステムを作り上げることが可能となります。
例えば・・・
ソフトウェアそのものをクラウド上で実行するサービスです。多くの場合、SaaSソフトウェアを構築したベンダー企業が運営し、個人、利用者企業がサービスを利用します。
例えば・・・
利用者にとって、Gmailを初めとするGoogleの多くのサービス、DropboxやSugarSyncといったオンラインストレージサービス、Evernoteといった情報の一元化ツールなどなじみ深いものがたくさんあります。
なお、クラウドというと最初の頃はブラウザでサービスを利用することがほとんどでしたが、最近はモバイルデバイス(スマートフォン、タブレット端末)の登場により、デバイスに合わせたクラウドアプリがたくさん登場して、ますます利便性が向上しています。
よくいわれますが、クラウドはバズワード(はやり言葉)なのでしょうか? 私がこの資料をまとめたのは2010年の初めです。ちょうど新聞などでクラウドが騒がれていたことです。最近はどうでしょうか? 依然として、クラウドという言葉はよく使われています。
バズワードとして有名なキーワードがあります。”Web2.0”です。”Web2.0”というキーワードは確かに今は使われなくなっています。しかし、それは”Web2.0”の様々な現象が無くなったのではなく、それが当たり前になったのです。
”クラウド”も同じような道を歩むのではないかと思っています。まだ、浸透過程ゆえに”クラウド”というキーワードがよく使われています。しかし、数年の間には”クラウド”が当たり前になり、敢えて強調されることもなくなると私は考えます。
関連コラム2011年05月23日 宿澤直正 記
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