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ポイント:レビュー、レビューの種類、インスペクション、チームレビュー、ウォークスルー、パスアラウンド、アドホックレビュー

レビューの基礎知識


レビューに関しての誤解

 レビューに関しての講習会を行う予定なので、レビューに関しての知識の再整理を行っています。自分の知識を再整理することで、自分のレビューに関しての甘い認識も見えてきています。

 まずレビューですが、一般的には「基本計画〜プログラミングの各フェーズにおいて、それぞれ複数の関係者が集まり、成果物(各種設計書やソースコード)の曖昧な点や問題点を洗い出すための討議や評論のこと」と言われます。

 多くある誤解で代表的なものは「レビューは会議のようなもの」ではないかと思います。その背景のとなる考えには「時間だけかかって成果が無い」「結局は無駄な時間を使うだけ」「レビューよりテストの方が効果的」等があります。見た目としては「レビュー」と「会議」は似ているように感じます。しかし、レビューはもっと目的や手段が明確になっているものなのです。

レビューの種類

 まず、レビューに関しての種類ですが、これが意外と分かりにくいです。プロジェクトレビュー、ドキュメントレビュー、コードレビュー、ピアレビュー、インスペクション、ウォークスルー、ラウンドロビン・・・等など。切り口を曖昧にしたままのレビューの分類が世に横行してわけがわからなくなっています。(少なくとも私には・・・)

 「ピアレビュー(Karl E.Wiegers著 大久保雅一監訳)」という本にレビューが分かりやすく分類されています。それによると次のように分類されえています。

 また、作業成果物の欠陥と改善の機会を探すレビュー(代表的なのはピアレビュー)では、インスペクション、チームレビュー、ウォークスルー、パスアラウンド、アドホックレビュー・・・等のレビュー手法の考え方があります。

 私は、レビューを分類するときにその効果という視点で、レビューが「公式か、非公式か」でわけるとよいと思っています。そのような観点では最も公式的なレビューである「インスペクション」が、組織的にも、品質的にも最も効果があるレビュー技法だと考えます。

インスペクションに潜む罠

 インスペクションは最も公式なレビューです。その公式であることが、レビューを組織的に阻む要因になることがあります。

 インスペクションは公式なレビューのため、そのプロセスが明確です。そして記録も確実に残す事になります。この記録が皮肉なことに組織でのインスペクションの浸透を阻害しています。つまり、摘出バク数などが記録に残るため、能力不足というレッテルを貼られるのではないかという意識が働くのです。また、レビューでバグを見つけたことを必要以上に自分の功績としてPRをする人がいる場合もインスペクションは組織に浸透しないでしょう。

 また、機会があったら、今度ははレビューを阻害するものを、様々な視点で考えてみたいと思います

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2007年10月01日
2012年11月13日改
宿澤直正


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