ポイント:日本版SOX法、金融商品取引法、ソフトウェア取引、新会計ルール、「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」、財務会計基準機構、企業会計基準委員会 ソフトウェア取引の新会計ルールの公開日本版SOX法、内部統制花盛り・・・日本版SOX法(金融商品取引法)の実施基準が6月中にも公表されることが分かりました。金融庁の企業会計審議会内部統制部会は当初、早ければ5月中旬にも公表する予定だったのですが、それが延びていました。さすがに、6月には発表されると思います。 日本版SOX法が少しずつ形が見えてきそうで、見えてこずに・・・。規正法に縛られず、生々と「内部統制の強化」を進めるべきと主張しながらも、コストとの関係で、一気に大ナタを振るうことをためらっている状態です。どうも、日本版SOX法のおかげで、かえって本来すべきコーポレートガバナンス、その一部としての内部統制の本来の目的がぼやけているような気がしています。新会社法も施行され「内部統制」関係の書籍が本屋で山積みされています。 そんな「日本版SOX法」「内部統制」花盛りの状態ですが、どうもキーワード自体が商業ベースで一人歩きしている気がしないでもありません。実際の企業の担当者もピンとこないというのが実情のようです。ただ、これからは順々に話が具体化していくでしょう。 ソフトウェア取引の新会計ルールのガイド公開そんな内部統制、会計への関心が様々な思惑で高まる中、少し前の3月末ですが(財)財務会計基準機構から「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」というガイドが公開されました。このように明確になっているものから取り組んでいくのもひとつの方法だと思います。 その冒頭ではこんな一文がありました。 ソフトウェア取引を事業の中心とした情報サービス産業においては、無形の資産であるソフトウェアの内容及び状況の確認の困難さや、その開発を巡る技術環境の高度化及び多様化を背景として、近時、いくつかの不適切な会計処理が指摘されている。この問題の解決には、一層深度のある会計監査の実施だけでなく、収益の認識及び測定に関する会計処理基準の明確化も必要ではないかという意見が多い。 当委員会(企業会計基準委員会)では、情報サービス産業におけるこのような問題に対処することを目的とし、情報サービス産業における中心的な取引であるソフトウェア取引の収益の会計処理について、現行の会計基準等を踏まえた会計上の考え方を明らかにするとともに、併せて実務上の留意事項について整理することとした。 ソフトウェアの世界はすごい勢いで進歩していっています。それにあわせて会計基準も変わっていかないといけないのだと思います。そういう意味では、新しい会計基準の役割は重要だと思います。 ただ、技術についていくだけでも大変なのに、会計、法律と新しいものが次々と出てきており、勉強することだらけですね・・・と、愚痴を言っていても仕方が無いので、新しいソフトウェアの会計基準のまずは問題提起の部分だけでもみてみたいと思います。 ソフトウェア取引の収益の総額表示の弊害話が飛びますが、公開されたガイドの6ページに「4.ソフトウェア取引の収益の総額表示ついての会計上の考え方」という項目があります。以前「IT業界にはびこる一式契約の見直し」というコラムを書きました。そこで書かれている問題点が紹介されています。 今回の会計基準のポイントは2つです。ひとつは「売上計上のタイミング」として、適切な時期に売上を計上しているかどうかです。もうひとつは「売上計上の金額」として、実態をともなう取引についてのみ売上として計上しているかどうかです。この両方のポイントを曇らせてしまうのが「一式契約」というものです。 「日経SYSTEMS6月号」の記事にも「ソフトウェア取引の売上を減らす新会計ルールの衝撃」という特集がされていました。そこでも「一式契約」の問題提起がされていました。 今回のコラムは、問題提起までとさせていただき、次回のコラムでもう少し詳しく「ソフトウェア取引の新会計ルールの概要」を書かせていただこうと思います。 参考
(財)財務会計基準機構・企業会計基準委員会のHP
関連コラム 2006年06月05日 宿澤直正 記 |