ポイント:日本版SOX法、SOX法対応ソフト、SOX法対応ソリューション、金融商品取引法案、内部統制の強化
日経コンピュータ、日経ソリューションシステムの最新号(日経コンピュータ4/17号、日経ソリューションシステム4/15号)で、それぞれ日本版SOX法に関して同じような意見が記載してありました。内部統制の強化は「金融商品取引法案(通称、投資サービス法案)」に含まれるという動きがあってから、また少々動きが止まっています。金融庁から出た「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準」が出てからもう半年になります。ようやく、この5月に「実施の基準」が出るのではないかと噂されています。
つまり、日本版SOX法に関して新しい情報が出てきていないのです。それにも関わらず、「SOX法対応ソフト」と銘打ったソフトがどんどん出てきています。「SOX法対応」と銘打つ場合、考え方としては2つあると思います。ひとつは「米国SOX法」に対応しているもの。もうひとつは大きな意味での「内部統制の強化」に寄与するものです。
「ベンダーの日本版SOX法のセミナーに参加しても、ツールの紹介ばかりで、それがどのように日本版SOX法に対応しているかわからない」という意見があるようですが、その意見は「その通り」だと思います。それは「日本版SOX法」というもの自体の姿がまだ「はっきり」としてきていないから当たり前の話です。
少し、穿った考え方をすると、「SOX法対応」というキーワードは広告宣伝の効果がとても高いのだと思います。厳密なことを言うと「SOX法対応」は「日本版SOX法対応」とは二アリーであるが、イコールでは無いということは注意が必要であると思います。
現在、ソフトやドキュメント、サービスなどの様々な形で日本版SOX法に関するソリューション提供をベンダーは、「米国SOX法」にのっとった形か、「内部統制の強化」という視点での形かのどちらかで提供していると先に書きました。
厳密に「日本版SOX法」とイコールとなるソリューション提供ではないと言えども、その呼びかけに耳を傾ける必要はあると考えます。なぜなら、日本版SOX法のリミットは「金融商品取引法案」により2008年4月1日以降に始まる事業年度から適用される見通しで決まってしまったからです。
「実施の基準」の発表が5月に行われずに、ズルズルと先延ばしなったからといって、リミットが同様に先延ばしになることはないのです。リミットが決まっている以上は、出来ることは着手する必要があると考えます。その出来ることの一つにベンダーの提供するソリューションの精査をしておくこともあると思います。この精査を行うことで、広い意味でSOX法に関わってくる可能性のある様々な要素を情報収集することができると考えます。
日本版SOX法の導入プロセスの例が日経ソリューションシステムに掲載されていました。これに関しての感想は後日コラムに書かさせていただく事として、掲載されているように、まず日本版SOX法対応のための計画を立案することが必須です。その計画の一部にベンダー提供のソリューション精査も入れておくと良いと思います。リミットが決まっているので、便利な道具は使うべきです。
ただ勘違いしないで頂きたいのは、提供されるのは「道具」で、それを使いこなすのは「ヒト」であると言うことです。「これさえあればSOX法も怖くない!」なんてPRしてある商品は危険な香りがします。
では、どんなソリューションがあるのでしょうか? 現状あるソリューションが日経ソリューションシステムに紹介されていました。
SOX法対応ソフト、サービスは大きく2つに分かれます。1つは「SOX法対応プロジェクト支援ソフト」と言われるものです。これは日本版SOX法を導入するプロジェクト活動自体を支援するソフト、サービスです。もう1つは日本版SOX法の目的である「財務報告の信頼性向上」に関わる個々の業務プロセスに内部統制の仕組みを実装するものです。
例えば「SOX法対応プロジェクト支援ソフト」としては、「文書化・評価支援ソフト」「ドキュメント管理ソフト」「ワークフロー支援ソフト」「内部監査支援ソフト」などで、サービスに関しては「評価対象の策定支援サービス」「文書化支援サービス」「有効性評価支援サービス」「改善支援サービス」などがあるそうです。
一方、「財務報告の信頼性向上」といった業務プロセス改善を支援するソフトとしては業務処理統制で「ERPソフト」「データ保護ソフト」「ID/アクセス管理ソフト」などがあり、全般統制で「開発管理ソフト」「開発支援ソフト」「運用管理ソフト」などがあるそうです。
道具探しは大切です。しかし、道具探しに奔走しすぎてしまうと、本来の目的を見失なってしまうので、それには、くれぐれもご注意ください。
参考
日経コンピュータ4/17号
日経ソリューションシステム4/15号
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2006年04月17日 宿澤直正 記
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