ポイント:経営資源を成長、「情報」が大切、業務の効率化ノウハウ、他社との差別化要因、業務の効率化に「完了」はない
本コラム「IT活用が業務効率化で果たす役割を考える」は2014年7月25日中部経済新聞「ナビゲーター」に掲載されました内容に一部加筆・修正したものです。
IT活用によって業務の効率化を実現することで、企業はどのように変わっていくのでしょうか? 仕事の工数が短縮できる、作業のミスが減る…といった目に見えやすい効果とともに、会社を経営していくためになくてはならない経営資源を成長させるという役割があります。
経営資源とはヒト、モノ、カネ、情報などが代表的なものになります。「業務の効率化」は、これらの大切な経営資源を投入しながら、経営資源をより効率よく使うよう改善することと言えます。IT活用の視点では、経営資源の中でも特に「情報」が大切です。
「情報」は、例えば会計データ、顧客情報、営業ノウハウ…などがあります。「業務の効率化ノウハウ」も「情報」の一種です。そして「情報」は、他の「ヒト・モノ・カネ」といった経営資源とは大きく異なる点があります。
まず「情報」は「ヒト・モノ・カネ」と違って使っても減らず、むしろ使えば使うほど洗練されていきます。例えば「効率化ノウハウ」という「情報」はそれを使うことによって改善点が見え、より良いノウハウに成長していきます。
また「情報」はどこかで調達できるものではなく、自分たちで時間をかけて蓄積していくしかありません。例えば「効率化ノウハウ」は書籍などからでも一般論は取得することができますが、それらを自分たちに落とし込むには工夫が必要となります。
そして、「ヒト・モノ・カネ」は目に見える経営資源のため、経営者としてそれらを活用する意識は高いですが、見えない経営資源である「情報」は十分な活用がされていない場合が多いです。つまり「情報」は活用ができれば、他社との差別化要因となっていきます。
このように「情報」は他の経営資源とは異なる特徴を持っています。そして、いかに「情報」を活用するかが「ITによる業務の効率化」のひとつのカギとなります。
ある企業では様々な業務効率化のノウハウやその効果・成果を「情報」としてグループウェアに蓄積を行いました。それを定期的に見直し、みんなで意見を言い合うことで、組織として業務の効率化に取り組むキッカケとなりました。それにより組織の風土が変わり、個人の意識、行動が変わり、やがて業務の効率化の取り組みを組織に定着することにつながっていきました。
業務の効率化を行っていく際に「完了」はありません。業務の効率化を実現するには「業務効率化のPDCAサイクルを廻す」ことが大切です。常に現状分析から効率化の対策を検討、実施し、それを評価します。そして、またそのサイクルを廻していきます。それにより「情報」という経営資源が成長していきます。これそが、IT活用が業務効率化で果たす役割の大切なものだと考えます。
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