ポイント:データ、情報、知識、知恵、企業におけるIT活用の大切なこと
本コラム「データと情報、そして知識、知恵へ」は2014年12月19日中部経済新聞「ナビゲーター」に掲載されました内容に一部加筆・修正したものです。
今回は連載が最終回なので、私が考える「企業におけるIT活用の大切なこと」を書かせていただきます。それはコンピュータで扱う「データ」は「情報」そして「知識」と進化をし、最終的にはヒトが「知恵」として使ってこそ企業経営に役立てることができるということです。
企業における業務はIT技術による高度化が進み、情報システムの中は会計データ、販売データ、在庫データといった様々なデータであふれています。ところで「データ」と「情報」の違いをご存知でしょうか? 漠然と区別せずに使っている場合も多いですが、この二つは明確な違いがあります。
「データ」とは会計データ、販売データ、在庫データ…といった数字や文字列の羅列です。コンピュータはその扱いが得意ですが、ヒトはどちらかと言うと苦手な人が多いです。苦手な理由は数字や文字列の羅列を脳で処理するには限界があるからだと思います。そのため「データ」を数表やグラフといった人間がわかりやすい「情報」に処理をします。
「データ」を元にコンピュータより提供された「情報」は人間に思考する機会を提供します。例えばスーパーやコンビニで活躍するPOSシステムには日々膨大な「データ」が蓄積されます。ただ、その「データ」をそのまま眺めていても、そこからヒトが何かを思考することは難しいでしょう。しかし、「データ」を日々の売り上げのグラフや商品と時間の販売マトリックス表といった「情報」に加工することでヒトは思考することができます。この思考することが企業経営に役立つのです。
ただ、今回伝えたい「企業におけるIT活用の大切なこと」には、さらに先があります。それが思考から得られた「知識」です。例えばPOSシステムの「データ」を商品ごとの売上グラフに処理することで「商品Aと商品Bを並べて陳列すると両方ともよく売れるぞ!」と気付くことができます。これが「知識」です。ここ1〜2年のIT流行語大賞ともいうべき「ビッグデータ」はこの「知識」を導くための助けをしてくれます。「知識」とはノウハウであり、それを蓄積することで自分たちの企業経営の差別化、高度化の道具を強化していくことができます。
しかし、道具は強化するだけでは勿体ないです。道具は使わなければ意味がありません。蓄積された「知識」を使うことが「知恵」です。「データ」「情報」「知識」までの進化はコンピュータという道具の力を借りられる領域でした。しかし「知恵」はヒトの領域です。その「知恵」とは何でしょうか? 先のPOSシステムで考えると「商品Aと商品Bを並べて陳列すると両方ともよく売れるぞ! ならば商品Cも並べて陳列したらどうだろう・・・。」と頭を捻ることです。この頭を捻ることはヒトしかできません。この「データ」を「情報」「知識」と進化させ「知恵」として使うことが、本当の意味でヒトがコンピュータを使い企業経営に役立てるということになります。
コンピュータが得意な「データ」にヒトが振り回されてしまうのではなく、ヒトとしてコンピュータという道具を自分の「知恵」のために使いっていきたいものです。
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2015年01月13日宿澤直正 12/22寄稿へ加筆・修正
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