ポイント:ナレッジマネジメント、知の発展、テキストマイニング、データマイニング、経営に役立つノウハウ
ナレッジマネジメントに関してはこれまで、「ナレッジマネジメントが組織に根付かない理由を考える」と「ナレッジマネジメントへの取り組み」とコラム・日誌で書かさせてもらった。ナレッジマネジメントには更に導入過程で考えることが多く、今後も議題にさせてもらう機会が多くなると思う。前回は「ナレッジマネジメント自体の発展」について記述させていただいたが、今回はナレッジマネジメントを構成する情報(ここではあえて情報と書いておく)の発展について記述させていただく。
前回の例では日報を例にナレッジマネジメントの発展を考えた。実は日報からナレッジ(知識)を見つけ出すのは非常に難しいとされている。テキストマイニングという言葉最近よく言われる。データの山から経営に役立つようなノウハウ(宝)を発掘することをデータマイニングという。テキストマイニングはデータマイニングの一種であり、文章のような規則性のない文字の羅列から、キーワードを探し出して、経営に役立つようなノウハウ(宝)を発掘することである。それには、前回「ナレッジマネジメントへの取り組み」に記述させてもらったような方法が、一つの方法であると思う。
さて、ここで少し考えてもらいた。「よく意味のわからない文章だな」と思われた方はいないだろうか? 「いつものことだから慣れているよ!」と言われるととても寂しいが、あえて、わかりにくくしているつもりである。それは、ナレッジマネジメントを構成する素材として、「データ」「情報」「知識」と3つの言葉を説明なく使っているからである。それぞれ、「データ」「情報」「知識」には別の意味があり、「データ」→「情報」→「知識」の順に高度化していく。この3つの言葉とプラスワンで「知恵」という4つの言葉に関して説明する。
まず、「データ」とは「素材であり、それ自体は意味や文脈のない事実や数値である。」と説明される。例えば、販売や会計といった、基幹システムの中にどんどん溜まっては消えていくものである。POSデータなどもそうである。
次に、「情報」である。「データ」とは「データを意図や目的をもって加工することにより、意味付けをしたもの。」と説明される。例えば、先のPOSデータでいえば、データからABC分析をしたり、バスケット分析をしたりして、データを活用できる形に加工したものである。よく「情報処理」と言われるが、狭義ではこの部分をさすと思われる。
最後に「知識」である。「知識」とは「情報を何かに利用できる形、目的達成のために役立つ形にしたもの。」と説明される。少しわかり難いので、例えると、「ABC分析やバスケット分析の結果にもとづき、製品の陳列、売り方などを明示したもの。」といえる。つまりこれがノウハウである。情報処理しただけでは、知識にはならない。情報処理の結果を、人が行動できる形まで具体化したものが知識である。
そして、知識をためて喜んでいるだけでは、売上には貢献しないし、業務も効率化しない。そこで登場するのが「知恵」である。「知識をベースに、そこに個人の持つ独自のノウハウや応用力を加え新たな付加価値をうみだすもの。」といえる。例えると「製品の陳列方法、売り方などを実践し、売上向上に貢献すること。」といえる。
「データ」→「情報」→「知識」→「知恵」と発展することにより、より価値が高まっていくのである。一度、図示してみる。
また、最近気づいたことであるが、データには「フロー」と「ストック」がある。「フロー」のデータにはそれにあった情報処理、「ストック」のデータにはそれにあった情報処理を行い、システム設計、特にデータベース設計の時には考慮する必要がありそうだ。この詳細はもう少し、検証してから記述したいと思う。
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2005年3月7日 宿澤直正 記
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