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ポイント:イントラブログ、ビジネスブログ、ブログポータル、RSS、ナレッジマネジメント、情報共有、暗黙知、形式知、表出化

イントラブログで「暗黙知」を「形式知」へ


ビジネスブログとイントラブログとは

 先週、あるフェアでイントラブログなるものを見てきました。その時は機能中心に見てしまったので、何が違うのか良くわかりませんでした。「ユーザーのアクセス制限ができることがイントラブログといわれるものなのかな。それならXoopsでもある程度できるけど・・・」と思っていたのですが、どうもそれだけではなさそうです。

 視点をもっと大きく「ナレッジマネジメントによる経営革新」と結びつけると、イントラブログのもつ意味が見えてきました。よく考えると、その時のセミナーで、「ナレッジマネジメントに関わる」説明もしていただいたのですが、すぐにはその効果が理解できず、自分の理解力の無さを寂しく思います・・・。

 まず、イントラブログといわれるものとは何かですが、簡単に言えば、イントラネットで使われるブログです(そのままですね・・・)。「日経ソリューションビジネス4/15号」にブログの守備範囲が広がっていく様子が図示されていました。

 2003年頃から「個人向け日記ツール」として登場したブログが、2004年以降ビジネスに活用できるということで「ビジネスブログ」が浸透してきました。もうこの時期から内部の情報共有にブログを活用している企業は多かったと思います。私の訪問していた企業でも何社かはそのような使い方をしていました。そういう意味では「イントラブログ」的な使い方は結構前からされていたと言えます。

 「日経ソリューションビジネス」では「ビジネスブログ」と「イントラブログ」を分けています。「ビジネスブログ」は社外の顧客や市場向けの情報発信やコミュニケーションといった外向け、「イントラブログ」は企業内ブログで社内の効率化や活性化といった内向けといった具合です。

 具体的には、「ビジネスブログ」は・・・

「イントラブログ」は・・・

・・・といった感じになっています。

イントラブログの機能

 イントラブログは様々な製品が出ているようです。というか「イントラブログ対応」といううたい文句のようでうね。イントラブログ対応のブログ製品の特徴をいくつかピックアップすると・・・

・・・など、いくつかあげられそうです。

 ただ、イントラブログ導入の最大のメリットは、「ブログインターフェースの利用」および「RSSの活用」と言えそうです。これは、イントラブログに限った機能ではなくブログのもつ特徴です(RSSはブログに限りませんが・・・)。

 つまり、イントラブログは「使い方の提言」で機能的に見た場合にあまり新しいものではないと思います。逆の言い方をすれば、イントラブログは「機能的」にみてはいけなくて、その使い方に注目すべきだと思います。

イントラブログは暗黙知収集に効果有り

 ナレッジマネジメントに関しては、私もいくつかコラムに書いていますが、暗黙知を形式知化して蓄積、活用を行っていくというものです。

 この「暗黙知を形式知化する」というフェーズがナレッジマネジメントの難しい部分の一つです。これまでどうしたら「暗黙知を形式知化できるか」を多くの人が議論してきました。私も「ナレッジ表出化シート」などをつくって、形式知化を試みています。

 ところが、ブログというものは「暗黙知」に近いままの状態でナレッジを蓄積することができます。「たかが日記ツール」と言っていたその気軽さが、ストレートな表現となり「暗黙知」近い形で表出化できるのです。

 これはブログがビジネスと関係の無い形で浸透していった背景にも関係しています。「日報を書いてください」と命令されるより「ブログに今日の出来事を書いてください」の指示の方が抵抗感無く、素直な気持ちで書く事ができるようです。

 もちろん、ビジネスブログにおけるリスクというものは残りますが、ブログを「暗黙知の共有」に利用する方法はナレッジマネジメントの視点から見れば斬新です。

 つくづくITは道具で使い方が大切だと思いました。

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2006年05月22日 宿澤直正


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