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ポイント:コミュニケーション、IT活用、情報共有、社内ブログ、社内SNS、形式知、暗黙知

コミュニケーションとIT活用で考える情報共有


企業内コミュニケーションにおける不満

 日経ソリューションビジネスの11/15号に面白い記事が載っていました。企業内コミュニケーションにおいて75%弱が業務知識やノウハウ共有に不満足を感じているという記事です。もともとの出所は2006年10月11日のgooリサーチです。

 今、私のしている仕事で最も多いのが、社内の情報共有の仕組み構築です。ただ、情報共有の仕組みを構築するには、社内でのコミュニケーションが出来ていることが前提です。社内のコミュニケーションが出来ていないのに、情報共有ツールだけ入れても、まず失敗するでしょう。

 先日も、「図解コミュニケーション」の講習会を行なってきました。この企業には、最初は「情報共有の仕組みを作る」ことで呼ばれました。ところが、その為にはコミュニケーションが重要だと、社員のみなさんが気付き、最近は「コーチング実践に向けての第一歩」「組織・人を変えるリーダーとは」「図解コミュニケーション」とかコミュニケーションを中心とした、ヒューマンスキル系ばかり話しています。

 すると不思議なもので、コンピュータなど使わなくても、自分達が本当に必要とする情報を吟味して、大きな紙に書き出して壁に貼り始めています。私はITコンサルを名乗っていますが、IT信者ではありません。コミュニケーションが浸透し始めたことで、ITを使わなくても、自然と情報共有が社員のみなさんの手で出来てしまいました。あとは、情報が増えたときに、検索スピードをあげるとかの情報共有の高度化の話になっていきますが、それは次のステップで十分です。

 今、ある企業さんから頼まれて、社員さんの自社への問題意識に関するレポートをまとめています。そこの中でも圧倒的に多いキーワードが「コミュニケーション」「情報共有」「業務ノウハウの共有」といったキーワードです。問題にはみなさんもう気付いているのです。

 そこで日経の記事をみると、いくつか面白いことに気付きます。3つのグラフ(情報)が提供されていますが、どのグラフにも気付きが有ります。

「社内の情報共有が出来ていない分野」で思うこと

 一つ目のグラフは「社内の情報共有が出来ていない分野」です。

 
業務知識やノウハウ74.2%
営業情報、顧客情報43.4%
経営層のビジョンや事業の方向性43.1%
規則やマニュアル36.1%
総務や経理などの情報28.9%
その他1.1%

・・・という結果になっていました。この表で私が思ったことは「その他」の少なさです。情報共有の際に良く迷うのはどんな情報を共有すれば「企業が良くなるか」という部分です。この表を見ると、答えが出ているかのように思えます。

 ただ、おそらく、アンケートに答えた人達が「企業が良くなるか」という視点で「社内の情報共有が出来ていない分野」を答えたかはわかりません。実はここに上がっている分野は「情報共有が必要な分野はどこですか?」と最初に質問すると出てくる分野です。

 その後に経営課題から、必要な共有情報を求めていくと全く違う結果になったりします。そういう意味で、経営課題からの必要情報の模索をしないと、結局使われない情報共有になってしまいます。注意したいところです。

「社内で活用しているITコミュニケーションツール」で思うこと

 二つ目のグラフは「社内で活用しているITコミュニケーションツール」です。

 
電子メール76.7%
イントラネット(社内掲示板含む)49.0%
グループウェア34.8%
社内ブログ4.0%
社内SNS3.1%
その他1.2%
使用していない18.3%

・・・という結果になっていました。ここで思うことは、社内ブログ、社内SNSが数は少ないながらも出てきたな、という感想です。情報共有では「暗黙知」から「形式知」への表出が難しいです。アナログに近く、プライベートで書きなれている人が増えているブログ、SNSは、社内の生の声を表出し、共有できる数少ないツールだと思います。今後は、増えていくのではないかと考えています。

「ITを活用したコミュニケーションや情報共有の問題点」で思うこと

 三つ目のグラフは「ITを活用したコミュニケーションや情報共有の問題点」です。

 
だれがどんな情報をもっているかわからない53.2%
情報が多すぎて欲しい情報がすぐに見つからない30.1%
情報の取捨選択に時間がかかる30.1%
ネットに頼りすぎて生のコミュニケーションが希薄26.1.0%
一対多、多対多の情報交換がしにくい23.8%
機能が多すぎて使い方が分からない12.8%
その他3.3%
特になし13.8%

・・・という結果になっていました。ここで思うことは、「ITを活用したコミュニケーション」に限定している事です。ITを活用することで、コミュニケーションの幅や質を落としているのではないかと思います。「ネットに頼りすぎて生のコミュニケーションが希薄」という意見がありましたが、リアルなコミュニケーションの大切さに気付いている人も多いようです。

 「機能が多すぎて使い方が分からない」という意見は、まさに「ITを活用することで」コミュニケーションの幅を狭くしています。

 今、私が直面している問題だけに、非常に関心をもって読めた記事でした。

参考

日経ソリューションビジネス11/15号

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2006年11月20日 宿澤直正


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