[事務所TOP] [コラム一覧へ]

ポイント:教え方、伝え方、リーダー、メンバー、説得、納得、価値観、双方向のコミュニケーション

「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(1)


「ちゃんとやりなさい」では動けない

「最近の若いもんは、自分から動かないので困っているんだ…」って、もしつぶやくようなことがあったら、ちょっと危険信号かもしれませんね。 それは、責任の半分は、指導すべき立場の人間にあるかもしれないからです。

では、何故、自分から動こうとしないのでしょうか?  それは「動こうとしない」のではなく、「動けない」可能性があります。

「動けない」原因は、本人のやる気や性格とはまったく関係なく「何を」「どのように」やったらいいのかわからないので、「動けない」と考えられます。 それも「自分で考えろ!」って言われるかもしれませんが、例えば組織の方向性も示してないのに、組織の中の一人として動くことは困難です。

もしかして、苛立ちながら「ちゃんとやりなさい」なんて言っていないですか? 「ちゃんとやりなさい」だけでは、「何を」「どのように」ちゃんとやったらよいのかわからないので、人は動くにも動けないのです。

わからないことだらけの新人や、仕事がうまくこなせていないメンバーには、きめ細かく、丁寧に伝え教えることが、ちゃんと動いてもらうのに最も効果的かつ早道です。 こう言うと「それでは自主性が育たない…」と言う人が必ず出てくると思いますが、最初だからこそ、基礎をしっかり伝え教えないといけないのです。

もしも、伝え教えたにもかかわらず、できないときは、自分の伝え方や教え方を見直すとよいです。 何ひとつ伝えず教えずで「お前はやる気がないのか!」などと、性格や人格を攻撃するのはメンバーの成長にはつながらないです。

「ちゃんとやりなさい」から脱皮するには

メンバーに伝え教える際に「ちゃんとやりなさい」から脱皮するには、私は3つの事に気を付ける必要があると考えています。

  1. ひとつ、一方的に話しては相手は納得できない
  2. ひとつ、なぜ、何を学ぶのかが曖昧では動けない
  3. ひとつ、尊重の気持ちなしでは相手に届かない

まずは「一方的に話しては相手は納得できない」から考えていきたいと思います。

一方的に話しては相手は納得できない

人は一方的に話をされ、そして説得されることを心理的に拒む傾向があります。

たとえば、子供の頃「そろそろ宿題やろうかな」って思っていた時に、母親から「そろそろ宿題やりなさいよ!」と言われると、途端にやる気をなくしてしまう…ことを経験された方も多いのではないでしょうか。

「説得した人が勝ち」で「説得された人が負け」という雰囲気すらあると感じます。 おそらく、説得には「相手」を操る意図が若干含まれるのだと思います。 「操る」とは自分の思うように他人に何かを強いることであり、それには抵抗感を感じてしまう人も多いと思います。

相手と価値あるものを分かち合おうという態度に対して、人は安心感を覚えます。 同じ価値感を共有するので、両者とも「納得」をするのです。

メンバーの「納得」を確かめながら、伝え教えるということが大切です。 それのためには一方的に話すのではなく、必然的に双方向のコミュニケーションをとることになります。

「納得」ができれば、メンバーは自分の判断で意思決定することになるので、自主的に次の行動に移れます。 これが「学び・気づきの実践」です。

コミュニケーションのための機会を作る

メンバーはいつも期待どおりに動いてくれるとは限りません。 そこを把握したうえで上でメンバーをマネジメントし、仕事をまわしていくのがリーダーの役割です。

ただ、リーダーは「報連相はメンバーからするもの」「質問に来ないのはメンバーが悪い」などの固定観念を捨てる必要があります。

コミュニケーションの機会は、まずはリーダーが作らないといけないです。 例えば、コミュニケーションを活発化するために、リーダーは最後に「他になにかありますか?」とひとつ質問を付け加えてみるのもよい方法です。

「他になにかありますか?」と聞くことで、「私はあなたの話を聞く準備があります」と伝えることになり、メンバーは質問がしやすくなります。

その結果、双方向のコミュニケーションが活発化し、「説得」ではなく「納得」で相手に伝え、教えることにつながっていきます。

次回以降の時事コラムで残りの二つのテーマ「なぜ、何を学ぶのかが曖昧では動けない」と「尊重の気持ちなしでは相手に届かない」を考えてみたいと思います。

関連コラム
メンバーへの教え方(3)〜メンバーに教える際の「壁」(後編)〜 2017年06月17日記述
メンバーへの教え方(2)〜メンバーに教える際の「壁」(前編)〜 2017年06月03日記述
メンバーへの教え方(1)〜「教える」とはメンバーの行動を変化せる〜 2017年05月20日記述
教わる相手の頭を一杯にしないための情報の取捨選択 2014年03月31日記述
チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(3) 2014年03月17日記述
チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(2) 2014年03月10日記述
チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(1) 2014年03月03日記述
「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(3) 2013年11月11日記述
「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(2) 2013年10月28日記述
「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(1) 2013年10月21日記述
考えと行動を一致させ「悩み」を減らす 2011年05月15日記述
図解コミュニケーションのメリット「考えて、気付く」 2011年05月08日記述
他責ではなく自責で問題を考える 2011年05月01日記述
情報共有が生み出す好循環で組織を活性化 2007年12月24日記述
モチベーションを高め維持する(後編) 2007年09月10日記述
モチベーションを高め維持する(前編) 2007年09月03日記述
なぜ、メンタルヘルスが必要なのか? 2007年01月08日記述
物語のコミュニケーションがもつ意味と効果 2006年12月11日記述
相手を納得させるコミュニケーション 2006年12月04日記述
コミュニケーションとIT活用で考える情報共有 2006年11月20日記述
図解のポイントとその手順 2006年11月13日記述
コンサル活動と図解コミュニケーション 2006年10月30日記述
コミュニケーションを円滑にするには 2006年9月25日記述
改善行動がしやすい組織へ 2006年7月10日記述
変わっていく組織への意識の持ち方 2006年6月26日記述

関連提供サービス
「チームリーダーのためのメンバーへの教え方・伝え方」研修

2013年10月21日 宿澤直正


[事務所TOP] [コラム一覧へ]

Copyright (C) 2013 宿澤経営情報事務所