ポイント:図解、メリット、デメリット、コミュニケーション、考える、気付く
「図解」を利用してコミュニケーションを行うメリットは、これまでもいろいろと紹介してきました。
まず、相手のヒアリング時に、自分の理解度を示すのに「図解」は効果的です。文章や箇条書きは「行間」に重要な情報が埋もれていても気付きにくいです。しかし「図解」では各項目の関係性をつなぐので、逆につなげない時は、埋もれてしまった何か重要な情報があることに気付かせてくれます。
そして、相手にプレゼンテーションを行う際にも「図解」は効果的です。「図解」を使うと、相手に考える余地を与えながら伝えることができます。これが、相手の「気付かなかった部分」を引き出せることになります。
つまり「図解」をつかったコミュニケーションを行うことにより、自分も相手も「考えて、気付く」ことができるのです。これが「図解」を使ったコミュニケーションの最大のメリットだと私は考えています。
例えばお客さんに「宿澤さんの事務所の場所を教えてください」と質問をされたとします。その際に私の答え方は2通り考えられます。
ひとつは「文章(言葉)」で伝える方法で、もう一つが「図解」で伝える方法です。
まず、文章で伝える方法ですが、例えば「野並駅から太子行きのバスに乗って、敷田北で降りて、バス停を左に曲がって、信号を右・・・」と道順をそのまま伝える方法です。この方法のメリットは、何も考えなくても伝えられた通り(指示通り)に行動すれば、ゴール(この場合は私の事務所)まで、たどり着くことができます。
ただ「何も考えなくても…」ということが同時にデメリットになります。私が道順を一つでも間違えて伝えたら…。もしくは相手が一つでも間違えて行動したら…、そこから正しく状況を復旧させることは、かなり困難です。
もう一つの方法は、「地図をメールします」という方法です。地図とは地形の「図解」と考えられます。地図が届いた場合、相手は自分で道順を考えます。ここが重要です。自分で考えて道順を検討しているため、途中で間違ったとしても、自分で状況を復旧させることができます。
また、自分にとっての最適な道順を発想することもできます。「宿澤さんは地下鉄野並駅からの道順を言っていたけど、自分は名鉄中京競馬場駅からの方が、土地勘があるから、そっちで行こう」と考えることができます。私の伝えた道順が相手にとっても最適の道順であるとは限らないのです。ローカルな例えですみません。
これらは、そのままビジネスに応用できることが、わかっていただけると思います。ビジネスで怖いのは「要求の認識違い」です。自分がどんなによいと考えた商品を提供したとしても、それが要求と合っていなければ、そのビジネスは成立しません。
「図解」を活用して、お互いが「考えて、気付く」双方向のコミュニケーションを行うことで「要求の認識違い」は格段に減少します。双方が自分の考えだけを伝えるコミュニケーションをしていては「要求の認識違い」があっても気付きにくいのです。
「図解」で伝えることは、相手に考えてもらうため「時間がかかる」というデメリットがあります。しかし、大切な局面(例えば要求に確認)では、時間がかかっても図解でお互いの認識違いがないことを、確認すべきだと考えます。「急がば回れ」で、お互いが「考えて、気付く」という「図解」のメリットを最大限に活かしてほしいと思います。
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2011年05月08日 宿澤直正 記
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