ポイント:図解作成手順、プレゼンテーション、囲む、つなぐ、配置する、マインドマップ、図解コミュニケーション、納得の技術
図解作成時のポイントは、キーワードを洗出し、それらを「囲む」「つなぐ」「配置する」という3つのみです。「囲む」は、状態や構造の表現に使います。「つなぐ」では複数の図形を関連付けます。「配置する」では順序や位置づけを示します。
図解には様々な手法があります。しかし、基本となるこの3つを上手く組み合わせて使うことで、複雑な手法を知らなくても、様々な図解も作成することが出来ます。逆に複雑な図解手法を知らないほうが、わかりやすい図解を描くことができるのではないかと私は思います。
図解を描くのに「絵心」はいりません。3つのポイントをしっかり抑え、あとは伝える相手に「伝えたい」という気持ちがあれば、分かりやすい図解を描けると考えています。
私の実践している図解作成の手順は次のような流れです。
まずは、事象、文章から情報の内容を連想させるキーワードを列挙します。キーワードとは大切な概念を短い言葉で表したものです。キーワードの発見、表現が図解では基本であり、重要な作業です。良いキーワードを見つけるには日常の出来事に対してキーワードは何だろう?と考えて行動する事が訓練になります。
私の場合は、いろいろなヒトと話しているとキーワードが見つかります。そんな時は「そのキーワード使わせてもらっていいですか?」と聞いてみます。ある顧問先での講習会では、私の講習会の後、グループ討議して発表をします。その時には、よいキーワードとなる言葉がポンポンとでてきます。正に「コンサルはお客さんに教わる」の例だと思います。
抽出されたキーワードはまず、大きくにグループ化し、その後、細かくグループ化していきます。キーワードを分ける基準(切り口)を明確にしておくと、グループ化するときに混乱しないです。
どのグループにも属さない「みにくいアヒルの子」は、重要な意見である事が多いので、決して捨てないで、別途グループ化しておくことも忘れないで下さい。
グルーピングしたら、それに分かりやすいタイトルをつけてください。次のようなタイトルがよいタイトルとされています。
タイトルの付け方で、図解の分かりやすさが、かなり変わってしまいます。「○○について」「△ △ の概要」というタイトルは本質をぼやかす可能性があるので注意してください。
次に、グループ同士を一定の基準でつないでいきます。この時のつなぎ方(線や矢印の形)も図解が分かりやすいかそうではないかの分かれ目になります。私がよく使っている意味のある矢印の例を例示します。
グループがつながらない時は何かが足らないので、キーワードの列挙、グループ分けの基準に戻って再考するとよいでしょう。
最後にグルーピングしたものを並びかえていきます。ちなみに今紹介している手順は、パソコンを使うことを前提としているので、紙と鉛筆の場合は「並びかえ」のフェーズはもっと前になります。
しかし、パソコンでも紙でもポイントは変わりません。重要なキーワードは真ん中に配置し、関連のあるものを近くにおくよう考えます。これもパソコンの場合ですが、様々な配置で試行錯誤しながら、良い配置をみつけるとよいです。こういう意味ではパソコンは図解を描くには便利な道具ですね。
最後に、図解にコメントをいれます。コメントの付けすぎは図を分かりにくくしてしますが、相手に考える余地を与える図解は、コメントがないと誤解を招く可能性があります。 ここだけは正確に読み取って欲しい部分にはコメントをつけ、読み手に書き手の意図を正しく伝えるとよいと思います。
図解は、大まかでラフでありながら、本質をきちんと押させないとなかなか書けないものです。ラフであるが故に、見た人が自発的に考えられるゆとりを備えているといえるでしょう。
前回の図解に関するコラム「コンサル活動と図解コミュニケーション」で紹介した「図で考える人は仕事ができる」の中で久恒啓一氏はこう言っています。
「人は「説得」されることは、他人から操作されているようで不快に感じる事がある。「図解」を囲んで話し合うことで、相手の頭を刺激して、想像力をかき立て、納得して企画に参加してもらう。文章が「説得の技術」なら、図解コミュニケーションは「納得の技術」である。」
これが図解の最も良くて、おもしろいところだと思います。
参考
「図で考える人は仕事ができる(久恒啓一著)」
「図解表現200の鉄則(永山嘉昭著)」
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2006年11月13日 宿澤直正 記
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