ポイント:コミュニケーション,円滑,背景(コンテクスト)化,枠組み(パラダイム),相手の理解,意思の疎通
私は「ITコンサル」を名乗っているので、一応その立場で客先にいきますが、いきなりITに関してのコンサルをすることはあまりありません。もちろん、目的はITを活用した経営改善ですが、その準備段階ですべきことが多いのです。
この準備段階が多いことにSE時代の私は気付いていませんでした。準備段階ですべきことは多種多様ですが、その中で最も大切なのは、コミュニケーションが大切だと気付くことです。
この「コミュニケーションが大切」ということは、実は気付いている人が多いのです。私は顧問先で講習会などを行ないますが、1〜2回の講習会で「コミュニケーションが大切」だという思いを、みんなが口にし始めます。前の「気付いている」状態から「口にする」状態への進歩は大きな進歩です。「口にする」ということは「宣言する」ことだからです。
さて「コミュニケーションを行なう」と宣言したあとで困るのは、ではコミュニケーションとはどうすればよいだろうということです。そこで「挨拶をする」「会話をする」というコミュニケーションの「手段」を目標に掲げることが多いです。
しかし、「挨拶をする」「会話をする」というのは、コミュニケーションの「手段」です。実際のコミュニケーションは、会話、対話という手段を用いて「相手と意思の疎通」を行なうことです。
一般的にはこういう定義でいいと思います。ただ、コミュニケーションの相手はもう少し広く捉えたほうが、コミュニケーションを円滑に行なえると思います。「少し広く捉える」とはどういうことでしょうか? 「直接的な相手」だけでなく、もっと「いろいろな対象」とのコミュニケーションを考えということです。
自分の伝えたい事を、相手に伝えたい形で伝達できる人は、このコミュニケーションがとれています。
自分の想いと行動が一致している人は、このコミュニケーションがとれています。
場の空気を読める人は、このコミュニケーションがとれています。
今しか出来ない事を最優先にできる人は、このコミュニケーションがとれています。
・・・など、自分自身と関係あるすべてのものとの間に、コミュニケーションをとることができると考え、さまざまな対象を理解しようとする意識が、コミュニケーションを円滑にしていくと考えます。
コミュニケーションを円滑にするための2つの条件があります。もっといろいろあると思いますが、とりあえずは2つを考えてみたいと思います。1つは「背景(コンテクスト)の理解」で、もう一つは「枠組み(パラダイム)の理解」です。
これは、例を出すとわかりやすいです。
つまり、日本語がわからない外国の方だと相手の背景を理解することで、返事をされなかった理由がわかるのです。普通は、相手も自分と同じという前提で話を進めてしまいます。相手と自分との違いを明確に認識できると、相手を許容する幅が広がり、コミュニケーションを高める事が可能となります。
相手の目に見えない背景を理解しようと努力する事が大切なのです。
枠組み(パラダイム)とはヒトの行動、思考を決めてしまう無意識の概念のことです。先入観、常識、好き嫌い、潜在意識、思考パターン(プラス思考&マイナス思考)などがあり、この枠が強い人は、行動が制限されてしまう事があります。
強い枠組み(パラダイム)は、そのヒトの「強い意思」になることにもなります。決して強い枠組みを否定しているのではありません。ただコミュニケーションの観点で見たときは、強い枠組みがコミュニケーションの阻害要因になる事も多いです。
コミュニケーション時は、枠組み(パラダイム)を極力、意識するようにして、枠を広げたり、形を変えたり、取り外す努力をするとよいと思います。
参考
壁を突破するコーチング(橋本文隆著・あさ出版)
関連コラム
教わる相手の頭を一杯にしないための情報の取捨選択 2014年03月31日記述
チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(3) 2014年03月17日記述
チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(2) 2014年03月10日記述
チームリーダーのための意欲を引き出す教え方・伝え方(1) 2014年03月03日記述
時間の有効活用(3)〜生きた時間と死んだ時間 2013年12月24日記述
時間の有効活用(2)〜隙間時間の有効活用 2013年12月02日記述
時間の有効活用(1)〜時間を整理・整頓してみる 2013年11月18日記述
「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(3) 2013年11月11日記述
「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(2) 2013年10月28日記述
「ちゃんとやりなさい」では動けない〜メンバーへの伝え方・教え方(1) 2013年10月21日記述
考えと行動を一致させ「悩み」を減らす 2011年05月15日記述
図解コミュニケーションのメリット「考えて、気付く」 2011年05月08日記述
他責ではなく自責で問題を考える 2011年05月01日記述
時間管理とは何をすることか 2008年02月10日記述
情報共有が生み出す好循環で組織を活性化 2007年12月24日記述
モチベーションを高め維持する(後編) 2007年09月10日記述
モチベーションを高め維持する(前編) 2007年09月03日記述
問題発見・解決に有効な能力は 2007年02月19日記述
問題を発見して解決するフレームワーク 2007年01月22日記述
なぜ、メンタルヘルスが必要なのか? 2007年01月08日記述
物語のコミュニケーションがもつ意味と効果 2006年12月11日記述
相手を納得させるコミュニケーション 2006年12月04日記述
コミュニケーションとIT活用で考える情報共有 2006年11月20日記述
図解のポイントとその手順 2006年11月13日記述
コンサル活動と図解コミュニケーション 2006年10月30日記述
コミュニケーションを円滑にするには 2006年9月25日記述
改善行動がしやすい組織へ 2006年7月10日記述
変わっていく組織への意識の持ち方 2006年6月26日記述
関連提供サービス
組織活性化の支援サービス
セミナー「情報共有による組織の活性化」
2006年09月25日 宿澤直正 記
Copyright (C) 2005 宿澤経営情報事務所