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ポイント:課題の可視化、課題解決、プレゼンテーション、理解、企画、伝達、全体図、マインドマップ、ストーリ性

コンサル活動と図解コミュニケーション


コンサル活動と図解

 有名ですが「図で考える人は仕事ができる(久恒啓一著)」という本があります。その中ではなぜ図で考えるとよいかという話が書いてあります。この本の内容は、今現在の私のコンサル活動において非常に役立っています。

 コンサルは大きく分けると3つの活動があります。まず、最初に相手の話を聴き、自分の理解が間違っていないかを確認します。特に問題点や課題などはズレが無いように何回も確認します。よく「課題の可視化」と言われるフェーズです。

 次に、どうすれば課題を解決できるのか考えます。いろいろな問題点をつなぎながら「あーでもない、こーでもない」と考えます。その場合、自分一人の場合もありますし、コンサルのチームで考えることもあります。

 最後に「解決手法の提案」をプレゼンテーションします。ここでは企画書、提案書を作成し、最終的には報告書にまとめます。

 これらがお客さんとのファーストコンタクトのです。ここまでがコンサルの仕事になる場合もありますし、これから提案した解決手法を実行するための支援をする段階に進む場合もあります。

 このコラムのテーマはコンサル手法がメインではないので、ここまでにしますが、コンサルの3つのフェーズでいずれも図解手法が役立ちます。

図解コミュニケーションの3つの側面

 前出の本の中では、「図解コミュニケーション」という言葉が使われています。図を使うことでコミュニケーションがスムーズに行なわれるのです。図解コミュニケーションには3つの側面があると書かれています。それは「理解、企画、伝達」です。先ほどのコンサル活動を例にとって考えると、分かりやすいと思います。

理解

 まず、理解の側面ですが、「課題の可視化」に該当します。ここでは、近視眼的にならないように、企業の経営環境、経営資源、社長、従業員の想いなど会社を表す全体図から経営課題が「見える」ように工夫します。その時には、極力、図は1枚にします。1つの図に情報を集約する事がポイントだと思います。複雑に絡み合った企業の背景を「1つの図」にまとめるからこそ、経営課題がシンプルなものに見えてきます。

 「図で考える人は仕事ができる」では地図が例に出されています。目的地を伝えるのに言葉で伝えるのは大変難しいです。でも地図であれば、あれこれ悩む必要はありません。そして、言葉の場合はせいぜい1つのルートしか伝えられませんが、地図であれば、地図を見た相手が自分の行きやすい道を判断する事ができます。

 実はこれが文章と図解の大きな違いだと思います。文章では1つことを伝えるのですが、図解では、1つの図を用いながら、相手の更なる発想の拡大を支援することができます。先ほどの企業の背景から課題を1つの図解にしたものから、新たな課題に相手が「気付く」ことがあるのです。

 図解は、相手の言葉を理解しているかの確認に使いながら、相手の更なる「気付き」を引き出すのに使えるのです。

企画(=考える)

 次に、企画(=考える)の側面ですが、「課題解決手法を考える」部分に相当します。最近ではこの「考える」部分が最も図解で威力を発揮しています。マインドマップ(Mind Map)を資料を作るときに必ず書くようにしています。FreeMindのようなフリーのツールも出てきてパソコンでもマインドマップが作りやすくなっていると思います。私は昔ながらの紙と鉛筆派ですが・・・

 一人で考えているときでも、チームで考えているときでもマインドマップは役立ちます。それは、考えている途中の状況が見えるからだと思います。一人で考えているときは、無意識のうちの思考がループしてしまうことがありますが、マインドマップを作るとそのようなことはありません。チームで考えているときは、更に威力を発揮します。一人一人の脳なのですが、それがまるで繋がっている脳であるかのように情報が整理されていきます。

伝達

 最後に伝達の部分ですが、お客さんへのプレゼンテーションに相当します。この伝達の部分が図解の醍醐味かもしれません。コンサルは企画書、提案書が成果物になることが多いです。その場合に、いかに相手にわかりやすく伝えるかということは大変重要です。

 ヒトは、「読んでみようかな」より「見てみようかな」の方がフットワークが軽いです。「文章」よりは「箇条書き」。「箇条書き」よりも「図解」のほうが伝達がおこりやすいです。そして、ストーリが目に見えるように「図解」するようにしています。ストーリ性が人の心を引き付けます。

 ストーリ性を強調し相手に伝えるには「紙芝居」が良い方法です。この「紙芝居」を作成するのに便利なのが「プレゼンテーションソフト」というわけです。

図解のススメ

 今回のコラムは、コンサルという仕事に図解を当てはめるといろいろ便利なところがあるという私の体験談でした。しかし、どんな仕事でも図解を活用するとコミュニケーションがスムーズになるものです。

 今回はまだ「図解」の本質に触れていません。今度は、もう少し図解の有用性を考えて見たいと思います。

参考

「図で考える人は仕事ができる(久恒啓一著)」

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2006年10月30日 宿澤直正


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