ポイント:Web2.0、集中化戦略、分散化戦略、検索エコノミー、ディレクトリ検索、キーワード検索
Web1.0とWeb2.0とよばれるWebサイトの大きな違いにサイト戦略があります。Web1.0は集中化戦略、Web2.0は分散化戦略をとると言われています。Webサイトの集中化戦略と分散化戦略を考える前に、Webサイトとは何か、そしてディレクトリ検索、キーワード検索の違いを知っておく必要があります。
Webサイトとは、「Webページが目的 (意味) を持った集合体」です。よく、ホームページを公開したという場合はWebサイトを指していることが多いです。そして、Webサイトの構造上、頂点に位置するページをトップページといいます。雑誌でいえば表紙のようなもの、家でいえば玄関のようなものです。ただ、表紙だけの雑誌は存在しないように、雑誌には、情報を伝えるページが必要となります。
Webサイトの場合も、トップに位置するWebページ(トップページ)と、その下に存在する情報提供やネットショッピングなどのWebページから構成されます。まず、Webサイトの意味と、トップページとその下にある情報提供ページの関係をイメージしてください。
ディレクトリ型(階層型)は、ジャンル別に登録されたトップページを、階層を下りながら捜していくものです。現在はキーワード検索に主力を移行させましたが、以前のYahooがその代表格です。探す目的が明確な場合は、ディレクトリ型で探すとよいとされています。また、人が審査するため、安心感というメリットもあります。ただ、登録の件数はロボット型に比べて少なくなってしまいます。
一方のキーワード検索は独自の情報収集プログラムが一定のルールに従って定期的にインターネットを徘徊して、俳諧時に取得した情報を、検索サイトのデータベースに自動で登録します。キーワード検索には階層という概念はなく、全てのページを平等に検索していきます。どんなWebサイトも登録してしまうので、ディレクトリ型に比べて危険度が高いですが、登録されているWebサイトの数は、ディレクトリ検索に比べて圧倒的に多いです。Googleがその代表格です。求める回答が自分の中でイメージできていない場合などには、キーワード検索がよいとされています。
では、これらを踏まえて、YahooとGoogleのトップページを見てみます。
明らかに、トップページの情報量の違いがわかります。Yahooの場合はトップページに情報を集中させています。これはもともとインターネットで情報を探す場合に、Yahooに代表されるようなディレクトリ検索が主流だったためです。ディレクトリ検索では、トップページに情報を集中させて、そこから階層的に情報を探していく。つまり情報を探すためのスタート地点は常にトップページなのです。
その結果、Yahooのトップページは、Yahooに登録されている膨大なWebサイトのトップページのトップページといえる状態になっています。その広大なピラミッド構造の頂点に立つのがYahooのトップページなのです。そのサイトの価値たるや恐ろしいものになります。TV広告を出すよりも、Yahooのトップページに広告を出すほうが価値が高いと言われるのもわかる気がします。
しかし、キーワード検索のGoogleの登場により、状況が変わってきています。キーワードで検索をするキーワード検索では、必ずしもトップページがヒットするとは限りません。ページの数で言えば、トップページではない下位ページをヒットすることの方が多のです。その結果、Web2.0的なWebサイトでは、トップページを重視せず、その下位にある全てのページを情報提供ページとして平等に扱うようになっています。
現在、ユーザの約4〜5割以上がキーワード検索で必要な情報提供ページにたどり着いていると言われています。この状況からトップページだけでなくその下位にある情報提供ページの重要性がわかりますが、多くの企業ページは、未だにトップページに情報を集約するつくりになっています。トップページからの企業が望む理想的なサイト巡回をユーザに期待しているのです。しかし、ユーザは期待通りにはサイト巡回を行ないません。今後は情報提供ページを増やし、その質を高めるサイトづくりが必要となってくると考えられます。
ただ、ひとつの注意点として、Web1.0的な集中化戦略がなくなるとは思いません。情報が集約されたページは「まずはこのページ」というユーザに安心感をあたえます。特に日本ではこの傾向が強いようです。これを象徴するように、YahooはWebブラウザを開いたときに最初に表示されるページとして日本で圧倒的に多く登録されています。
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2007年02月12日 宿澤直正 記
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