ポイント:Web2.0、進歩的性善説、GIGO、ユーザー参加、「荒らし」や「誹謗・中傷」、主催者の理念、ブログ炎上、CGM
ユーザーが参加して、コンテンツを成長させていくWeb2.0では、重要なキーワードがあります。それが「進歩的性善説」です。進歩的性善説とは、ユーザ同士やサービス提供者などが、相互の信頼関係を築いていることを前提としたうえで、個々の知恵や知識を提供しあってサービスを作り上げるという考え方です。「サービスを利用する人の多くは善人である」という考えに基づきます。
進歩的性善説をもっともうまく導入していると言われているのが、オンライン百科事典「Wikipedia(ウィキペディア)」です。Wikipediaでは、ユーザに情報を編集できる権利を与えているため、情報は常に新鮮であり、より良い表現へと改変されてく仕組みとなっています。誰でも情報を編集できる権利をもつため、不適切な表現が投稿される場合もあるが、ユーザ同士が情報をチェックしたり、ボランティアによって投稿が削除されたりと、まさに、進歩的性善説をフル活用したサービスが展開されているのです。
進歩的性善説の立場に立たなければ、ユーザーは欲する本当の情報を提供するサービスは実現できないでしょう。それだけユーザーは新鮮で、本音の声を欲しているのです。ユーザーが自ら書き込んだ情報でユーザーが自ら判断する、これは理想的なシステムです。
GIGO(Garbage In, Garbage Out)という言葉があります。これは、「ゴミからはゴミしか生み出さない」という意味です。少しきつい言葉ですが、システムでは入力データの重要性を比喩するときに、わりとよく使われる言葉です。Web2.0のように選別される前に情報が発信される現状では、GIGOはひとつの議論の対象なのかもしれません。
一部の「荒らし」や「誹謗・中傷」を目的とした悪意ある人以外の情報は、決して「Garbage」ではないと私は思います。それがWeb2.0の「集合知」の考え方です。
「悪意ある人以外・・・」という表現を使いました。「進歩的性善説」をWeb2.0の根底に据えるのであれば、「進歩的性善説」とはいえない「悪意ある人」を、どう考えるかが重要になります。
人にはいろいろな価値観があり、「進歩的性善説」から外れると言って「悪意ある人」を排除することはできません。「ブログ炎上」などが起きる状況も「誹謗・中傷」が原因と言われますが、それは「価値観の違い」から一部の過激な人がコメントを書き、それが広がっていく現象であると思います。
「進歩的性善説」の立場に立ち、そのように緩やかな心で考えると「悪意ある人」はいなくて、「ブログ炎上」などのネットにおけるトラブルの多くはの原因は「価値観の違い」と言えるのかもしれません。
ただ、ネットにおける波及が著しく急なWeb2.0のような世界になると、トラブルの原因が「価値観の違い」で済まされる状況ではなくなります。これまで大切に育ててきた重要な資産であるブログが「価値観の違い」から「炎上」してしまっては、やはり一大事です。
ブログやSNSといったコミュニティには、「主催者の理念」というものがあります。その理念と会わない意見を削除する権限を「主催者」は持ちます。ただ、膨大なユーザーの書き込みを24時間監視することはかなり困難です。そこで書き込みを24時間体制で監視するサービスがでてきています。
「書込み監視サービス」で検索するすると、かなり数が増えてきたと思います。ブログやSNSといった消費者発信メディア(CGM)をビジネスに活用しようとする際に、企業のリスク管理の一つの手法として今後注目されていくと思います。
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2007年03月05日 宿澤直正 記
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