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2011年11月 9日

父が最後に教えてくれた2つの事

一緒に仕事をさせていただいている仲間のご尊父がお亡くなりになり、お通夜に参列させていただきました。

私も10年前に、父を亡くしています。
身内を亡くすのは、本当に悲しいものです。
ただ、私は、その時に大きなことを教えてもらうきっかけにもなりました。

父が亡くなる直前に教えてもらったことは2つあります。

まず一つは「その時に本当に大切なことを考える」です。

当時の私はプロジェクトが多忙で徹夜や深夜は当たり前でした。
父は、重度の病でもう長くないことを自分で知っていました。

その日も私が明け方の4時に帰ってきたら、玄関に一人で座っていました。
暗い中で一人でポツンと座っている姿は今でも脳裏に焼き付いています。

私が「眠れないの?」ときくと「ちょっとな」と答えました。
仕事が忙しくて、もう長くないとわかっている父と最近ほとんど話せていないことをその時に気付きました。

その日は父の横に座りしばらく話をしました。
久々でした。

父が言いました。
「こうやって、お前ともっと話がしたかったなぁ」

この言葉を聞いた時「父と話せるのは今しかないのに、自分は何をしているんだろう」と思いました。
自分にとって今一番にしなければならないのは、もうすぐいなくなる父とたくさん話すことではないか...と気付くことができました。

「その時にしかできない大切なことが日常の中に埋もれている」ってことはかなりあるのではないか思います。

もう一つは「決して最後まであきらめない」です。

父の病気も悪化して、もう意識もはっきりしなくなってきたときのことです。
私は「うつ病」が最悪の状態で、毎日のように額を柱の角にぶつけて額を割って流血しているような状態でした。

父は自分がもう長くないのに、最後まで私の事ばかり心配していました。

そんな父が意識もあまりないのに、毎日、病院のベットの上に立ち上がろうとするようになりました。
家族は怪我でもしないかと心配していましたが、父はそれを続けました。
私も、その様子を呆然といつも見ていました。

私は「父は何をしているのだろう?」と考えていました。
ある日、ちょっと話せるようになったので父に聞いてみました。
そしたら父は「退院したとき、歩けなかったら寂しいだろう」と答えました。

もう意識も、ほとんどなく数日の命の人が何を言っているのだろう?と思いましたが、よく考えたらそれは私への「うつ病は治る、だからあきらめるな」というメッセージだったのだと思います。

うつ病は「頑張れ」とか言ってはいけないと言われていますが、この父のメッセージに「自分も応えたい」と思いました。
その後、額をぶつけることをやめて、数日で額のかさぶたもとれてきました。

父の最後の言葉は「額がきれいに戻ってきたな」でした。
やっぱり、父のメッセージだったのです。

最後の最後まで「決してあきらめない」父を誇りに思います。

その後、紆余曲折はありましたがうつ病も完治し、中小企業診断士の資格をとり、今は独立して、元気にやっています。
うつ病の時からは想像もできません。
これは、周囲のみんなのサポートと共に、父のメッセージのおかげだと思っています。

父は亡くなりましたが、ことあるごとに、この2つのメッセージを問いかけてくれます。
そういう意味では、父は私の中でまだ生きていると思います。

長文、失礼いたしました。